インタビューinterview

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KAZ‘S WAGYU BEEF 武村 一夫氏 インタビュー

"WAGYU"にかける情熱で日々邁進 

2009年6月22日掲載

KAZ‘S WAGYU BEEF 武村 一夫氏 インタビュー




和牛とは? ~What is WAGYU?~

“和牛”とは、日本にもとからいる牛に外来種を交配、品種改良を重ねた肉牛のことを指す。“和牛”という言葉から日本国産の牛と思うかもしれないが、牛の品種をあらわした言葉で国産牛という意味ではない。
現在の規定で、日本で生まれ育ったものを「国産牛」、日本で生まれ育ち、全国和牛協会に登録されているものを「和牛」、そしてそれ以外の外来種は「肉用専種」という呼び名が付いている。
日本代表“和牛”と、オーストラリア牛肉との違いはどこなのか?それは“牛の育つ環境”と“牛の品種”である。一般的なオーストラリア牛肉は「グラスフェッド」と呼ばれ、牧草によって育ち、赤身が多く脂身が少ないのが特徴。対する和牛は、穀物によって飼育され、適度な脂身があり柔らかいのが特徴である。そしてもう1つの要因である“品種”であるが、オーストラリアでは、アンガス種、マレーグレイ種、ヘレフォード種などの様々な種類があり、日本では和牛、ホルステイン種の2種類が一般的。オーストラリアの子牛は、和牛の子牛に比べると安価で取り引きされているため、今まではオーストラリア牛肉が主流となっていたのだが、ここ近年は“和牛”が注目されている。

 

日本には「(社)全国和牛登録協会」が存在するが、オーストラリアには「豪州和牛協会」という登録機関が存在し、オーストラリアで扱われている“和牛”のほとんどはこの機関に登録されている。
日本の場合、日本格付協会の格付員にて評価を受け、脂肪交雑、脂肪色、肉色、しまり等が評価されたうえで格付が行われる。そしてその格付を基に食肉市場において競売されるのが一般的。しかしオーストラリアでの場合は日本のような肉の格付規格はなく、肉の品質によって取引が行われないことが多い。
そんな状況下で、少しでも美味しい本物の“和牛”を皆に届けることが出来れば…と立ち上がった日本人達の手により、現在では、約5万頭の高品質の和牛をオーストラリアで生産するまでになった。

その一連の活動を更に広めようと日々邁進しているのが武村氏である。

 

【プロフィール】
武村 一夫氏 Kazuo Takemura

30年以上前、和牛をオーストラリアに広めたいという野望を抱き船で渡豪。その後、様々な経験を経てコネクションを広げ、現在“和牛”をレストラン、各家庭へと提供する「KAZ’S WAGYU BEEF」を運営。更なる“和牛”の普及を目指し日々邁進している。
 
インタビュアー:長谷川潤


 

--オーストラリアでの和牛の現状は?

オーストラリア国内で和牛を生産後、国内消費のために肉屋、レストランや一般家庭へ、そして海外へも輸出しています。


--では、和牛の認知度はいかがですか?

上がっていますよ。レストラン単位では使用されていますが、特にシドニーやメルボルンのレストランを中心に“高級・脂が乗っている・美味しい”和牛を知っているという方が増えています。ですが、一般家庭で使用されることはまだ少ないと思いますので、一般家庭への認知度はこれから積極的に上げていきたいですね。


--どのようなレストランに広まっていますか?

日本食レストランだけではなく、イタリアンやフレンチレストランでも使われています。高級なポートハウスやランプステーキから、リーズナブルなすね肉を煮込み料理にするなど様々な和牛メニューの開発もされています。中には和牛を上手に利用し、季節感溢れるメニューを生み出しているシェフもいます。


--武村さんはどのように和牛に携わっていらっしゃいますか?

まず良い和牛を責任持って提供することです。そして、そのためにはお客様の声を聞く事も大切です。お客様に納得していただける物、満足していただける物をお出しするためには‘お客様の声に耳を傾ける’ことが重要だと考えています。


--販売以外で、どのようなPR活動をされていますか?

一件、一件電話をかけたり、実際にシェフにお会いしその場で和牛を食べていただいたり、また後日フィードバックをいただくようにしています。またPR活動の一環として調理法も提案しています。たたきの説明からステーキの厚さの工夫、そして焼き加減の相談にも乗っています。これらの販売促進を通して、私は非常に手ごたえを感じています。実際ビジネスに発展することも多いからです。


--こちらの和牛のクオリティーについてどう思われますか?

特に2005年以降からはとても良いものが出てきています。日本の和牛にも引けを取らない程です。日本の和牛市場でいえば、A4クラスの和牛に匹敵するのではないかと思います。


--今後目指す「和牛のステータス」はどのようにお考えですか?

一般家庭に広めていきたいと思っています。是非、家庭料理に和牛を使ってほしいですね。そして、もちろん‘和牛’の素晴らしさをより多くの方に伝えていきたいです。将来的には“GOOD FOOD WINE SHOW”などに参加し、消費者の目の前でしゃぶしゃぶやすき焼きの作り方をデモストレーションしたり、シェフ向けの日本食講座を開いたり、しゃぶしゃぶやすき焼きの作り方のDVDなどを作成したりして、日本の和牛を使った家庭料理をオーストラリアで広めていきたいですね。

 

--なぜ一般家庭への普及を目指されているのですか?

それは私の30年来の夢です。オーストラリアには無い日本の技術を提供し、オーストラリアの家庭で和牛を食べて喜んでもらいたいという強い思いがあります。そのためには和牛ならではの軟らかさや品質を保持しつつ、より手ごろな値段で提供する必要があると感じています。また、その実現は私の責任だとも思っています。


--和牛を購入したい場合は武村さんにご連絡すれば宜しいですか?

私の携帯に連絡していただいてもいいですよ(笑)。ご相談にお答えさせて頂きます。またこちらの和牛業者に話をして場所を確保していますので、グレン・アイリス(Glen Iris)の『ハワード・ブッチャー(Howard Butcher)』や『富士マート』でも購入できますよ。


--では一般家庭でのおすすめの調理法を教えてください。

薄く切って食べるカルパッチョやオーブンを使った和牛の煮込みなどがおすすめですね。その他にも薄切り肉を使用したすき焼き、しゃぶしゃぶ、肉どんぶりなどであれば低コストで作ることができるので、どんどん食べていただきたいです。


--今後、オーストラリアの和牛に対してのご自身の責任については?

やる気のあるオーストラリアの農業家の方たちを誘って日本へ連れて行きたいですね。和牛はオージービーフに比べ何十倍も難しく大変な事業ですが、やる価値は十分にあると思いますよ。日本人、オーストラリア人の和牛生産者から話を聞き、その中から問題点を見つけ、さらには付加価値も見つけ出して収益に繋げていくことができればいいなと思います。


--その情熱の根源は何ですか?

私はこつこつ毎日、何かを見つけ出すタイプなのです。ですから遠回りでも、一つか二つ自分の仕事には「こだわり」を持っていたいですね。そして仕事にかけたいという思いが強いです。やはり一生懸命やらなければ人はついてこないと思いますから。


--今後の夢や目標は何ですか?

いつか小さい規模で和牛の生産をやってみたいですね。それに焼肉店などのレストラン経営にも興味があります。実際に目の前で自分がおすすめするおいしい和牛を食べていただくことができますし、そこでいただいたお客様からの熱い賞賛の声を次は和牛生産者に直接届けることができますからね。最終的には「生産から箸をつけるまで」一貫して携わりたいなと思っております。それが叶えば、私の夢は自分なりに満足できますね。


--では最後にメッセージをお願いします。

日本の方、オーストラリアの方にどんどん意見・クレーム・感想を言っていただきたいです。それを新しい商品作りへ活かしていきたいと思っています。


”Dreams of WAGYU”



和牛の購入等に関するお問い合わせは
KAZ’S WAGYU BEEF

TEL:0412 547 511

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