インタビューinterview

グルメgourmet

寿司職人 井原 邦宜 さん インタビュー

オーストラリアで教える身近で旨い寿司!

2010年2月24日掲載

[プロフィール]

井原 邦宜 (通称:タカさん)Ihara Kuninori
昭和37年生まれ。宮城県出身、横浜育ち。旧姓は高橋。結婚後、妻の名前を取り井原となる。オージーは「IHARA」が発音できないためタカと呼ぶ。寿司職人。オーストラリアで日本の味を保った本格握り寿司を広めようと努めている。

インタビュアー:中村紀子

 

--メルボルンに来たきっかけは?

去年メルボルンに来ました。元々妻がこちらの会社とのビジネスをしていましたのでビザを取ることにしました。そうしたら5年前たまたまマーパネント・ビザが取れたのでので、せっかくならとメルボルンに来ることにしました。

日本では養豚の水処理を手がけていました。メルボルンで水処理を企業として始めようとしましたがでとても難しい。政治家がいて初めて水処理ができるという状況です。まず個人での参入できませんね。

 

--お寿司を始めたきっかけは?

妻が寿司好きなのですが、オーストラリアにはおいしいお寿司がないので自力で作ることにしました。

 

--どこでお寿司を勉強しましたか?

メルボルンに来る前に日本で5年間準備する期間があったので、新宿にある「東京寿司アカデミー」で寿司の勉強をしました。
寿司というのは奥が深く、普通なら修行に何年もかかります。ところがここでは一ヶ月で終わることができます。そこでは一日、お魚を30匹から40匹捌きました。さらに握りを200貫、毎日握っていました。

昔はシドニーにも学校があって、そちらは英会話と寿司を勉強してビザが取れるというふうになっていました。

 

 

--メルボルンではどんな活動をされていますか?

オージー相手に寿司を教えています。これがなかなか難しいです。こっちではお寿司と言うとのり巻きなんですよ。

 

--お寿司のネタはどこから手に入れますか?

ジャパニーズショップ、またはこっちのスーパーで買ったもので作ります。私の寿司は皆さんが簡単に手に入る身近なもので作るようにしています。
しめさば、ホタテは冷凍物で作ることが出来ます。日本のお寿司屋さんでも冷凍物を使っている所がほとんど。冷凍物をうまく使うと、安価でおいしい寿司をつくることができますよ。

他には、だしを取らなくても、めんつゆを使えば出し巻き卵も手軽に作れたり、スーパーで売っているスモークサーモンで押し寿司ができたり。この押し寿司は富山の鱒寿司にほぼ近いものになります。これには皆さん驚かれますね。

 

 

--オージーが作るお寿司はどのようなものですか?

やはりこの国の人がが作るとおにぎりになっちゃいますね。お寿司は指で握るんです。お茶碗一杯で8巻くらい握ります。実は皆さん手の平で握っちゃうんですよ。でも実は指で差し込むようにして握ります。だから私が握った寿司は口の中はっとで散りますね。

 

--酢飯はどうやって作りますか?

お酢は日本の米酢と日本の砂糖、それと塩で作ります。バランスを変えるだけで自分に合った寿司酢ができます。私は皆さんがおいしいというので日本のジャノメ寿司と同じ味付けで作っています。

寿司はお魚を食べるものだと思っている人が多いですが、実は寿司はご飯を食べるんです。そして一番時間がかかるのご飯なんです。今でも私はお酢飯作るのにを3時間ぐらいかかります。
オージーのお寿司はあまりおいしくないという人が多いですが、実はいいお米を使っていないんです。よく人に「お寿司の店を開かないの?」と聞かれますが、もし利益を出そうとするとやはりオージー寿司になってしまいます。
友人にパーティーなどのもてなしを頼まれた時は、ほとんど原価で提供しています。本当はこちらに住んでる年配の方々に作って食べさせてあげたいですね。

 

--オーストラリアで生で寿司として握って食べれる魚って何がありますか?

まぐろ、サーモン、ブリ、イカ、さば、穴子、うなぎ、タコ、アジ、ほたて、エビがあります。
その中でサーモン、まぐろ、エビはあぶりも出来ます。

 

 

--寿司教室をする場合はどのようにされますか?

ご飯は時間がかかるので、通常は私が炊いて持ってきます。だいたい8品位で10人集まれば1人あたり10ドル程度でできます。
私が握り方を披露したあとは、皆さんで食べて頂けます。握りたい方には握って頂けます。これは2時間位で終わりますね。

皆さんで実際に握ってもらう場合、これは半日かかります。初めての人はご飯が手についちゃってあきらめちゃう人もいるんですけど。
お米は手が冷たいと付きません。お寿司屋さんはふきんでなま板を拭くなどして実際は手を冷やしているのです。寿司職人の動きには無駄がありませんね。


大概の人は食べることに夢中になって寿司の教室のことは忘れちゃいますけどね(笑)。ワインを持ってきてはじっこの方で飲み始めちゃう人とかもいたりして……。

 

 

--家庭でできるお勧めのお寿司はありますか?

私は手巻きをよく人に勧めます。握れない人も簡単にできますから。好きなもの集めてのりを切ってちゃちゃっとできちゃいます。オーストラリアの人にはとても喜んで頂けます。
私が教えた生徒さん達は、家で握りを作るようになったという人が多いです。握り方が分かれば意外と簡単に出来ますよ。


他には飾り巻きです。非常に時間はかかりますがとても楽しくできます。こちらは魚は使わず、基本はかまぼこです。私の師匠が川澄先生といいます。こちらで材料が入らないのが難点ですけど。食べられるだけでなく、見た目が非常に楽しいのがいいですよね。

 

--オースストラリアで寿司を作るにあたって工夫していることはありますか?

ベジタリアン用に野菜だけのお寿司、宗教上食べられないものがあったりする場合は、その方に合わせた食材のお寿司を作ります。やはりお寿司ですからみんなで食べてもらいたいです。トマト、とうもろこし、アスパラガスでも握り寿司ができますし、これがなかなかおいしいんです。

トマトの寿司の場合は、まずトマト(グレープトマト)の中身を取ります。そして塩に漬けてもみ、一日漬けたものを握る。これは本当に鮮やかな色合いで、トロかな?と思うくらい。とうもろこしは醤油をたらしバーナーで焼いたものを握り、アスパラガスの握りはは胡麻ドレッシングで食べます。

日本でやっている所があるのですが、見よう見まねで自分でアレンジして作り始めました。こうすると寿司のバラエティーも増えますし、みんなで楽しめる。こちらの人は寿司っていうとやっぱりお魚じゃないですか、でもそうじゃなくっても寿司が出来るよって知って頂きたい。お寿司はアイデア次第なんです。

 

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