走ることを通じた人と人とのコミュニケーションを
メルボルンマラソン・日本人ランナーによる完走パーティー
天候にも恵まれ大盛況のうちに幕を閉じた今年(2010年)のメルボルンマラソン。
この大会のために日本からはるばる40名強のランナーが参加し、その夜、Flinders St駅前にあるYoung & Jacksonの屋上にて完走パーティーが開催された。
会場に到着してまず驚いたことは、つい数時間前までフルマラソンを走っていたとは到底思えないほど皆さんが元気だということ。
余談ではあるがこのパーティー後に偶然フルマラソンに初挑戦した友人と出会ったが、彼はこれぞ満身創痍かという状態であった。
さすがは海を越えて大会に参加された方々。
日頃のトレーニングの質の高さと準備への余念の無さがうかがえた。
おおよそ30名ほどの完走者が集まったところでいよいよ乾杯。
乾杯の音頭を皮切りに今日のマラソンをキーワードにした参加者の会話は弾む。
そんな光景を見て、今回の完走パーティーを中心となって運営したお二人はこう語る・・・。
「「走ること」を通じた「人」と「人」とのコミュニケーションを創出したいんですよね」とランニング学会(http://www.e-running.net/)の元会長・雨宮教授(帝京平成大学)。
日本市民スポーツ海外交流協会(http://jsie.org/)の事務局長を務める保原さんも、
「ただ「走る」だけではなく、現地のコミュニティとの交流をより深めていくことを大事にしていきたいんです」と語る。
そんな2人の熱い想いはすぐ目の前に広がっていた。
「会社から2週間のお休みをもらってやってきました。メルボルンに来てよかった!」
「これまでホノルル、東京マラソンなど色んな大会に参加してきたけど、今日自己ベストを更新したの」
「気候も涼しくてすごく走りやすかった」 「景色がキレイで本当に素敵だった」
参加者の言葉にはフルマラソンにかける想いとその達成感に満ち溢れていた。
こればかりは完走の瞬間を共有した者にのみ与えられた特別な感情。
私がどう頑張ってイメージしても決して表現できるものではないのだろう。
そんな興奮冷めやらぬ会場には2008年メルボルンマラソン女子の部で2位と8分差をつけてぶっちぎりの優勝を飾った田上選手も駆けつけてくれた。
「08年のメルボルンマラソンのことはよく覚えています。私自身最高のコンディションで大会に臨むことができ、自己ベストの更新を狙っていたのですが、先にスタートしたハーフ(マラソン)の最後尾集団に進路を遮られたり、折り返し地点を過ぎたところからは急に強い向かい風が吹いてきたりと散々な状態でした。コンディションがよかっただけに少し悔しい気持ちもありますが、そんな中で結果が出せたことは非常にうれしく思います。」
また今大会ランナーとしても参加されたベースボール・マガジン社発行ランニングマガジン・クリール(http://www.sportsclick.jp/running/)の編集長・樋口さんはプロの視点から今大会をこう振り返る。
「仕事柄、世界中色んなマラソン大会に取材へ向かうのですが、メルボルンマラソンは様々なカテゴリーにおいて非常に質が高いと感じました。気候、コース、景観、沿道の方々の声援など他の大会と比較しても間違いなくOne of the bestだと言えると思います。それなのにも関わらず残念なのは認知度の低さですね。この部分を改善できればもっと盛り上げる事のできるポテンシャルのある大会ですよ。」
日本人ランナーが活躍し、世界中の大会を知るプロが太鼓判を押すメルボルンマラソン。
メルボルンに滞在する限り、一度は体感しておきたい事の一つかもしれない。
レポート:河内雄大(Yudai Kohchi)