トライアル
更新日: 2014-01-24
トライアルで自分のベストを尽くす。
朝8時30分。シャツにネクタイをして、ハットをかぶり自分の中で正装をし
リュックにミルクジャグと地図を入れ、勢いよく階段を走っておりた。
「今日はデート?」
とバックパッカーの受付の人に声を掛けられたが、
「I'll do my best!」
とだけ笑顔で言い、僕はトラム乗り場を目指した。
トライアルの時間は、”昼12時までに来て”と言うものだったので、カフェが暇そうな10時くらいに行くことにした。
お店はシティから電車で約25分のBrighton Beach というビーチの近くに位置していたが
電車はまだメルボルンで乗ったことがなかったので、トラムを使った。
トラムに乗ってみたものの、どんどん田舎になっていき、周りに店という店もほとんどなくなってしまった。
これは、選択ミスをしてしまった。。。
トラムの中から、そわそわしながら窓の外をずっと見ていたが、それも45分を過ぎた頃
僕はしびれを切らし、下車をした。
駅もなにもないところで降りてしまい、迷うこと1時間。
親切な人に助けられ、電車に乗り換えてなんとか最寄駅 Brighton Beach 駅に到着した。
それからも不安で仕方がなかった。もう10時45分だったからだ。
そんなきょろきょろしてる僕を見つけた親切な老人が
「大丈夫?どうしたの?」
と声を掛けてくれた。
「Olie & aRi というカフェにトライアルに行くんです。道に迷ってしまって…」
「あー、ちょうど今からそこにコーヒー飲みに行くところだから、連れて行ってあげるよ」
と神様に救われ、なんとか11時に到着した。
店に着くと、みんなせわしく働いていた。
「こんにちは。CISCO'S coffee のオーナーダニーの紹介でトライアルに来ました。Nobuと言います。」
「Hello. Im ラット。ダニーから聞いてるよ。じゃ、ラテとフラットホワイト作って」
と愉快な感じのオーナーが出てきた。
リュックからミルクジャグをだし、バリスタの女性に挨拶をした。
「こんにちは。日本から来ました。Nobuと言います。はじめまして。」
「はじめまして。私は、ジョディ。どうぞマシン使って」
「ありがとうございます。普段はエスプレッソは1ショット、それとも2ショットですか?」
と普段店で出しているコーヒーのショットを確かめた。
その間にちょうど、お客様のオーダーも入ったので、
エスプレッソの粉量やオペレーション、ミルクの温度をこっそりチェックした。
スチームをふかしながら、神経を集中し
ラテとフラットホワイトを作成した。
自分のコーヒーとジョディのコーヒーに大きな差が出ないように気を付けた。
■トライアル前にチェックした項目
・エスプレッソの粉量
・コーヒー1杯に使用するエスプレッソのショット数
・スチームの強さとスチームノズルの穴の数
・スチームしたミルクをカップに注ぐ前にデミタスカップ(小さいカップ)にいれ、飲んで温度チェック
・使用するカップやグラスはチップしたり、口紅などで汚れていないか
・ラテのフォームを厚さを目視
そして冷めないうちにオーナーにコーヒーを持っていった。
一口、二口飲み
「OK。ちょっとそこに座って待ってて。コーヒーいるなら作って飲んでていいよ。」
と言った。
どっちのOKだろ。。。
と思ったが、実際にカフェでコーヒーが作れてとても幸せな気分になった。
、、、、、、しかし待てどくる気配はなし。オーナーは忙しそうなキッチンを手伝っていた。
コーヒーマシンの方へ目をやると、バリスタも忙しそうにしていた。
コーヒー作っていいと言われたし、自分のコーヒーを作る事を口実にマシンの方へ近付くことにした。
「コーヒーの勉強をしたいから、このまま手伝っていい?」
「ほんと?いいよー助かる。」
それから、ロングブラックやショートマックなどのコーヒー類や、チャイラテ、紅茶などのオペレーションを教えてもらいながら
1時間、2時間とコーヒーを作った。一瞬暇になれば、洗い物もした。
途中オーナーがすまないと声を掛けてくれたが、
僕は予定はないし、勉強させて下さいと言った。
気付けば3時間半が経過していた。
覚えることも沢山あったし、ミスもしたし、忙しくてお客様の顔もみる暇もなかったけど
新しいドリンクを覚え、英語を話し、コーヒーを作ることが兎に角楽しかった。自分が出来ることはやった。
ようやく店も落ち着いたころ、オーナーが声掛けてくれた。
「週何日くらい働ける?」
「4日か5日くらい働けます。どの曜日でもどの時間でも働けます。でも英語はまだ出来ないです」
「いいよ。いつか話せるようになれば笑。じゃあ、次のシフトは明後日。9時から14時で働ける?」
「はい!ありがとうございます!」(やったーーー)
と運よくバリスタの仕事に就くことが出来ました。
スタッフにお礼を言い、ロッカーで荷物を片付けているとオーナーが封筒を持ってきた。
「ノブ!これ今日の給料」
「え、今日トライアルです。なので申し訳ないです。」
「いいから、受け取って」
中身は3時間半分の給料とチップ。
この給料とチップは今でも忘れられないくらい嬉しかった。
人生初チップの$5に”初チップ”と書き、定期入れに大切に保管した。
帰りは、最寄駅から電車で帰ることにした。
その日、とても空がきれいだった。
次回へ続く。
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