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Club Australia メルボルンの旅―Kin Sanの超・創作料理―

選んで、学んで、味わって。

2009年10月16日掲載
 

 Club Australia メルボルンの旅―Kin Sanの超・創作料理―

10th October, 2009 @ Pan Asian


選んで、学んで、味わって。


 超・快晴に恵まれた土曜日の昼下がり、ビクトリア・マーケットに賑やかな日本人一行が現れた。

「さあ、出発です。」
と先頭をきるのは、もちろんツアーガイドさん!…ではなかった。

「これはね、日本のウイキョウですね~。スープに入れるとまろやかで美味しいですよ。」「この野菜は日本でも手に入りますけれど、高いですよね。」「スイカね、一年中転がってますよ、オーストラリアだから。」「モダン・オーストラリアン・ディッシュというのはどんな材料を使ってもいいってことで…。」

 軽快なトークを続けながらマーケットを案内するのは、Kin Sanこと荒金育英(あらかね いくえい)シェフ。メルボルンで活躍を続けるモダン・オーストラリアンの第一人者で、現在はアジアンとウェスタンスタイルを独特のバランスで併せ持った創作料理をプロデュースしている。
 

 Kin Sanが連れているのは、オーストラリアが大好きな俳優の柴俊夫さんと仲間たちが集まってできたクラブ・オーストラリアが企画するツアー、「My Best Australia メルボルンの旅」で日本からやってきた参加者。当ツアーは、ブッシュ・ファイヤーの被害にいまなお苦しむオーストラリアと、その人々を元気にしよう!との熱い想いから始まったブッシュ・ファイヤー復興応援企画である。ツアー参加者は翌日に行われるメルボルン・マラソンに参加し、走った分だけブッシュ・ファイヤーの義援金として、野生動物保護病院に寄付されることになる。
 
 今回のツアー内で行われたユニークなイベントは、ビクトリア・マーケットで19名の参加者が選んだ食材でKin Sanがディナーに料理を創り出す、というもの。もちろん、Kin Sanにはどんな食材が選ばれるのか知るよしはない。

 ちなみにツアーガイドさんは、みなさんがはぐれないように、としんがりを駆って出た。
 
  

 広いビクトリア・マーケットをあちらへこちらへ。鮮魚売り場、肉売り場、野菜売り場と練り歩く。どこにいてもKin Sanを取り囲み、質問攻めにするのは女性の方々。スターシェフとお買い物なんてめったにない機会!とKin Sanの話をひとつも聞き漏らすまいとしてレコーダーを手にする参加者もいた。
 
 
 

「このマンゴーおいしそう!」        「じゃあ、私もこれを。」
 
 
「これ、いけるわね~。」 「止まらないかも。」
 
 
 
 
「はいはい、順番にうかがいますよ~。」
参加者のリクエストをメモをするKin San。
 

 
 
「え?柴さんはタコが食べたいの?」
俳優でクラブ・オーストラリア会員番号No.1の柴俊夫さんからもリクエストが。
 
 
 前日は、フィリップ島、モーニントン半島、そしてグレート・オーシャンロードと大自然を満喫したツアーの参加者。この日はビクトリア・マーケットでの買い物をすませると、それぞれが自由行動で思いおもいにメルボルンの街へ繰り出した。そしてその間、Kin Sanはディナーに向けて大忙し。「さて、どうするどうする~?」Kin Sanの頭の中、フル回転!
 
 
「うーん、アスパラね。どうするかな~。」 Kin San、思案中。
 
 夕食会は、Kin Sanがエグゼクティブ・シェフを務めるモダン・アジアン・レストラン、「Pan Asian」。メルボルン・シティからトラムで15分ほどの、おしゃれなレストランも多いプラーンのチャペル・ストリートに位置する地元でも大評判のレストランだ。この地域はメルボルン・シティほどアジア人や旅行者が多くなく、オーストラリアの生活を身近に感じることができる。
 
 
 
Pan Asianは高い天井が開放的な心地よいレストラン。
 
 クラブ・オーストラリアの設立メンバーでオズ・プロジェクト代表のジャッキー岡田さんが「乾杯!」とグラスをかかげて、午後7時から始まったディナー。次々と目の前に差し出される、芸術とも言えるKin Sanの創作料理の数々に嘆息の嵐である。
 
 
 
ひとつひとつの料理の説明を丁寧にする、シェフ・Kin San。
 
 パンプキンと西京味噌のスープ、サーモンの刺身、和牛ビーフの和風ユッケなど、和のテイストを主にしたものが多く、幅広い年齢層の参加者全員が楽しめる料理をとのKin Sanの心配りが感じられた。また、Kin Sanはチャリティー・マラソンを応援するために参加者のリクエスト以外の料理もたくさん用意しており、当夜の参加者は期待以上の超・豪華料理を食する機会を得たのだ。
 
  
 
鹿のステーキwith パースニップのピュレ(写真・左手前)と、
ベビーチキンとうさぎのロースト(写真・左奥)。
 
デザートはコンクォートと白ワイン、ハニーのスフレ。
甘すぎず、白ワインの香りがさわやかに口の中に広がる(写真・右)。
 
計10皿、16品のKin Sanの超・創作料理を堪能した。
 
 美味しい料理は話を弾ませるものである。今回の参加者のうち数人はオーストラリアを何度か訪れており、その中にはPan Asianの近くに住んでいたことがあると、懐かしそうに眼を細める方もいた。また、以前に他のツアーに参加した女性は、「このようなツアーは今までになく、オーストラリアに住む人々に近い視点での経験が得られるので貴重に思う。」と話した。  
 
 
 オズ・プロジェクト代表のジャッキー岡田さんと、俳優の柴俊夫さん。
なにやら盛り上がっている様子。
 
 
  
 
夕食会には、アボリジナルアートコーディネーターの内田真弓さんがゲストとして参加。
 
 
 
 
「明日はハーフ・マラソンに母娘で参加します!」
 
 
「長野でアスパラを育てて長くなるけれど、生のアスパラを食べるのは初めてなんです。
美味しいですねぇ。」
 
 
 
 
「オーストラリアのワイン、最高!」
 
 
マンゴーの香りがブルーチーズを包み込む盛り合わせ。
ワインによく合う。
 
「TV番組がきっかけでオーストラリアをね、旅したんだよ。1号線をパースからずっと走ってさ。土地が変わると景色が変わるでしょ。景色が変わると出会う人も変わる。そういう、人間と自然の共存について深く感動して、オーストラリアという大地を好きになったんだ。どんどん先が見たくなって、寄り道したくなったりしてさ。」
と語ってくれた柴俊夫さん。いまやクラブ・オーストラリアの会員番号1番を保持するオーストラリア好きである。

「今年の2月にブッシュ・ファイヤーが起きたとき、大好きなオーストラリアのために僕たちが何かできることはないかって考えたんだ。そしてオーストラリア大使館でチャリティーBBQを開催して、1万ドルを寄付したんだ。そして今回はメルボルン・マラソンを走って寄付をすることにした。」

 人は自分の生活も、もちろん大事だけれど他人に興味を持って好きになって助け合わなきゃ、と柴さんは言う。そんな人々のあたたかい気持ちが一堂に会した夜は、オーストラリアだけでなく、地球の未来に向かって指針を与えるかのように、人々の笑顔と会話が途切れることなくいつまでも続いた。


●クラブ・オーストラリア
オーストラリア・ファンクラブ。オーストラリア大好きな人々が集まって2008年7月に設立された。2009年4月には、ビクトリア州ブッシュ・ファイヤー復興支援のためのチャリテBBQをオーストラリア大使館にて開催、1万ドルを寄付した。
URL:http://jp.clubaustralia.org/index.html

●Pan Asian
URL: http://www.panasian.com.au
住所:267 Chapel Street, Prahran VIC 3181
TEL: (03) 9533 7022
営業時間:火~土 PM12:00-PM3:30/ PM5:30-till late

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