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3000年以上の歴史をこえて、永遠に生き続ける人

黄金期の国王 ツタンカーメン

2011年6月10日掲載

Tutankhamun and the Golden Age of The Pharaohs

今メルボルンミュージアムではツタンカーメンの展示会が開催されている。これはオーストラリア歴史上初の展示会で、しかもメルボルンのみで開かれるという貴重なもの。

3000年以上の歴史をもつツタンカーメンや彼の親族の墓から発掘された130以上の品々が、遥かエジプトから運ばれて来た。
多くの品が21.11度の温度と50%の湿度を保つ必要があり、もちろん直射日光なんてもってのほかだ。エジプト人の特別チームによって入念なチェックの下、今回の展示会は開催されている。

 

「ツタンカーメン : Tutankhamun」

彼の名前を知らない人はおそらくいないだろう。
エジプトが黄金期Golden Ageとして全盛期だった頃生まれた彼は9歳にて王に即位し、19歳という若さでこの世を去る。
政治的に不安定だった時期なだけに、彼の死は暗殺だと長く言われてきたが、近年のDNA鑑定やCTスキャンの結果、ほぼそれは否定される。直接の死因は大腿骨の骨折による敗血症と、マラリアの合併症による体調不良の悪化が原因だと今では言われているらしい。
近親婚を繰り返す王家のせいで、彼には元々遺伝による先天的な疾患の痕跡が多数見つかっていて、元々病弱な人だったと言われる。

 

今回の展示会は、ツタンカーメンの墓の中で彼と共に葬られていた品々が公開されている。なぜ墓にこんな多くの品々が?と不思議に思われる方も多いだろう。
これを理解するには、古代のエジプト人の信仰を知る必要がある。

彼らにとって死とは、地球上においての生命の終わりを意味し、死後は神によって与えられた永遠の場所に行くと信じられていた。要は人は死ぬことによって永遠の命を与えられるということだ。

‘To speak the name of the dead is to make them live again’ (-Ancient Egyptian belief)

当時ツタンカーメン王が19歳という若さで亡くなったという事実は、人々にとって予期せぬ事であり、王家の人には彼が永遠の世界でも、何不自由のない生活ができるようにしてあげる責任があった。
その結果、墓の中には彼が日常で使用していた、ありとあらゆるものが葬られることになる。

私が驚いたことの一つに、彼の娘と思われる5ヶ月の胎児2人が、その中に含まれていたということだ。彼は妻との間には子供がいると歴史上残されていないが、DNA鑑定の結果その2人の胎児は彼の子であることが証明されているらしい。

     

さてここでツタンカーメンを発掘したイギリスの考古学者、Howard Carterを少し紹介したい。

元々画家であった彼は、各地の遺跡発掘で壁画模写のための同行をしている内に考古学自体に興味を持つことになる。
その後カーナボン卿との出会いにより彼からの資金提供を受け15年に渡る試掘の末、ついに1922年世紀の大発見をすることになった。

若くして亡くなったツタンカーメンの名前は王名表や碑文から消し去られていた。そのせいでなのかツタンカーメンの墓は盗掘の被害が少なく、王のミイラにかぶせられた黄金のマスクを初めとする数々の副葬品がほぼ完全な形で出土され、当時とても貴重な研究材料とされた。そのため発掘した品々は、エジプト政府がほぼ没収し、カーター氏には政府からわずかなお金が与えられただけだったそうだ。しかしカーター氏はそれさえもカーナボン卿に与え、自分は「発見者」としての名誉だけで満足したと言われる。

実は発掘後、‘ファラオの呪い’ と呼ばれる事件のようなものが起きているが、皆さん聞いたことはあるだろうか。
出資者のカーナボン卿を初めとする関係者が相次いで亡くなったのだ。人々はそれをツタンカーメンの呪いとし大変恐れたそうだ。しかしながら、一番呪われそうな発掘当事者のカーター氏は、無事64歳まで生き延びているという。

   

オーストラリア中から多くの人が集まっているこの展示会。もちろんエジプトの砂漠を歩きながら、彼らの墓を一つ一つ巡ることができれば最高だ。
でも遠いエジプトに行く機会がなかなか作れない忙しい私達は、今回のこのとても貴重な機会を逃す手はないと私は思う。

現代に生きる私達はその優れた技術のおかげで、何千年以上も昔のことを知ることができる。歴史を知らずに生きることは簡単だ。だが知ることで、より多くのことに感謝、驚き、学ぶことができるのを忘れたくない。

 

“You live forever after the life” 

展示会の中でこの言葉が壁に掲げられているのを私は目にした。これは宗教的な意味を指したものだが、実際3000年以上の歴史を超え、「ツタンカーメン」という名は世界中で尚生きている。
彼は古代エジプト人が信じたこの言葉通り、これからも永遠に歴史上の人として生き続けていくんだろう。展示会を見終わる頃、私はこの偶然とも必然とも言える言葉の深さを感じずにはいられなかった。

   

 

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Melbourne Museum
8 April ー 17 July 2011
http://www.kingtutmelbourne.com.au/

Opening Time:
Monday to Friday – Opens 10am
Saturday & Sunday – Opens 9am

チケット:
人気の展示会なため、あらかじめ購入して行かれるのをお勧めします。
ネット (http://www.kingtutmelbourne.com.au/tickets.html)
電話 (Ticketek 132 849)
Adults from $29.50
Children from $17.50
Concessions from $26.50
Family 4 Pack (2 adults & 2 children) from $80.00


文: 兼重貴子  (Written by Takako Drew) 

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