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チョーヤ梅酒株式会社 海外事業部 金銅 正彦氏、稲葉 信二氏 インタビュー

伝統の味を海外へ、チョーヤ梅酒の挑戦

2011年2月1日掲載
 

メルボルンでの視察に来られているチョーヤ梅酒のお二人にお会いする機会をいただきました。さまざまなレストラン、リカーショップなどを巡られるお忙しい中、お話しいただきました。

インタビュアー:長谷川 潤、大喜多 良美


 
(写真)左:金銅 正彦氏(Mr Masahiko Kondo)、右:稲葉 信二氏(Mr Shinji Inaba)

【チョーヤ梅酒株式会社】
 大阪府羽曳野市に本社を置く、梅酒や果実酒を製造する会社。日本を代表する梅酒メーカーとして圧倒的なシェアを誇る。社名の「蝶矢」は、本社を置く羽曳野市駒ヶ谷周辺の二上山・葛城山・金剛山にギフチョウなど数多くの蝶が生息していたこと、また二上山で採取される石が石器時代に鏃や石包丁として利用されていた歴史・地理的な背景がある。
 2000年に梅酒製造40年を機に「チョーヤ梅酒株式会社」に社名を変え、現在に至る。(Wikipedia参照)


--まずは、改めてチョーヤ梅酒様の歴史、会社紹介をお願いいたします。

 初代会長が農家を営んでおり、ブドウ栽培をしていました。そんな中、1914年にブドウ酒製造所を創業したのが始まりです。しかし将来海外からの品質が良く安いワインが輸入されると判断し、1959年に梅酒製造へ切り替え、現在に至ります。

 製造当初は家庭での梅酒製造は違法であり、そこに目をつけました。また2009年には50周年を迎えました。チョーヤ梅酒は90%以上が梅酒に特化した会社で、おそらく日本で唯一の会社だと思います。


--梅酒製造は羽曳野市の土地柄が背景にありますか?

 ブドウ酒製造時代はそうですが、現在使用している梅は主に和歌山県産ですね。

 

--オーストラリアでの主な商品展開は何ですか?

やはり梅酒ですね。

 

--その他の海外での展開はいかがですか?

 現在は、ドイツ、上海、アメリカに事務所があり、またシンガポールも近々事務所を置いて活動する予定です。

 日本酒類はアメリカではとても普及していますが、ヨーロッパはまだこれからといった感じでしょうか? 梅酒も日本酒の普及と同じ感じですね。

 

--オーストラリア・マーケットでの手応えはいかがですか?

 2年前から梅酒の販売を本格的に開始しましたが、今まで’ 梅の実’の入った商品がほとんど流通していなかったのもあり、ボトル内に実が入っているものは見たことがないということで、「これは何?」と思われて、とても目を引くようです。

 また「plum wine」という言葉を知ってはいるものの、飲んだことがない、味わったことがないという方がほとんどですね。実際に飲んでいただくと、ワインとは違う味わいで、オリジナルのリキュールの濃さ、酸味とのバランスが好評です。

 オーストラリアの方はお酒をよく飲まれると思いますし、BBQにも間違いなく合いますので、今後の販売活動も期待できます。

 

--オーストラリアでは健康志向が高いのですが、チョーヤ梅酒の健康効果を教えていただけますか?

 栄養素としてはクエン酸、カリウムなどのミネラルが豊富に含まれているため、疲労回復や、特に夏バテ防止に良いと言われています。オーストラリアは今夏ですので、夏バテ防止にとても良いと思います。(アルコール飲料のため、適量飲酒が望まれます。)

 

--今回の視察はいかがですか?

金銅:今回初めてオーストラリアへの視察をさせていただき、レストランや小売の状況を見て回りました。世界的な日本食ブームも反映しているのか、とても好評をいただきました。ただリカーショップでの日本酒などの取扱があまりないのが見受けられるのですが、逆に今後の販売活動に可能性があると思いますね。


--オーストラリアでのお食事を通して、チョーヤ梅酒はどんな料理に合うと思われますか?

稲葉:肉料理はとても合うと思います。クエン酸が肉の消化を助ける効果もあります。夏には普通の水や炭酸水で割った梅酒が特におすすめです。

金銅:鶏肉にマリネしてグリルで焼くレシピなどもありますし、家庭でも気軽に使っていただけます。


稲葉:お砂糖が入っていますので、煮詰めると濃い味のソースになりますし、照り焼き感覚で使用していただけます。

金銅:ダックのソースにも、カレーの味付けにも梅酒や梅を使用したりするのも聞いたことがありますね。

 

--チョーヤさんから見られた近年の世界のSAKEブームはどのようにお考えですか?

金銅:個人的な見解ですが、一時期のトレンドではなく、これからも続いていくのではないかと考えています。日本では輸入のお酒だけでなく、地酒も売れてきていますし、アメリカでもそういった傾向があります。ですので、海外でも日本酒の”味”がわかる人が増えてきていると言えるのではないでしょうか?

 

--メルボルンの印象はいかがですか?

金銅:そうですね、イメージ的には、なんだかカナダに近いような気がします。

稲葉:夏のメルボルンに初めて来たのですが、街がきれいですし、日本に比べて緑も多いですね。私の担当はロシアなどの雲の低いところが多いのですが、メルボルンの街を歩いていると気持ちが良いですね。

金銅:街角に彫刻も多いですね(笑)。また思った以上にアジア系の人が多いですね。

 

--サイトのユーザー、メルボルンのお客様へメッセージをお願いいたします。

金銅:梅酒を作って50年以上、ほぼ専業で現在にいたります。原料になる梅は、100%日本国産梅、主に和歌山県の南高梅(※)を使用、添加物などを全く加えず、ナチュラルな味と、梅の風味を生かす製法にこだわっています。

稲葉:チョーヤを飲んでハッピーになっていただければと思います。また適量飲酒で健康になっていただければと思います。

※南高梅
「なんこううめ」、あるいは「なんこうばい」と呼ばれる和歌山県を代表する品種であり紀州和歌山のブランド梅であるだけでなく、梅のトップブランドとしてその名が知られている。果実は非常に大きく、種は果実のわりに小さめであり、果肉が厚くて柔らかいのが特徴。おもに梅干しや梅酒に加工される。和歌山県のみなべ町が発祥の地であり、かつ生産量も多い。(Wikipedia参照)

チョーヤ梅酒株式会社
URL: http://www.choya.co.jp/

 

 多忙なスケジュールの中でのインタビューでしたが、快く応じていただきました。今後のマーケットへの期待も高く持たれていらっしゃる印象で、今後のオーストラリアでのチョーヤ梅酒の展開に目が離せません。

 稲葉さんは毎回着物や浴衣姿で海外視察をされていらっしゃいます。今回は自前の浴衣3着持参されていました。オーストラリアでは、通り過ぎてから「アレ?」と振り返られることが多いそうで、国や地域によっていつも反応が違うそうです。でも実はネクタイをしなくてもよいので…というのが本音だそうです。

  

 インタビューをした『egg』はメルボルン大学内Union House地下にあり、この日egg内のバー”Choya Bar”がオープンしました。チョーヤ梅酒を使用したカクテル($6.50~)、ビール($3.30~)なども格安で飲むことができます。一般の方ももちろんご利用いただけますので、ぜひお越しください。

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