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デハラユキノリさん「パンチラは日本を表す1つの大きいテーマです」

個展1日まで★フィギュア作家とちょっとピンクなインタビュー★後編

2012年3月29日掲載
 


QVにあるギャラリー「No Vavancy」で個展開催中のフィギュア・イラストレーター、デハラユキノリさんにお話を聞くシリーズの後編。

パンチラ…女装…「ピンク」なお話の大連発、血圧上昇、鼻血出血にご注意を!

(前編はこちらから。)
 

【デハラユキノリさん・プロフィール】
1974年高知県カツオ生まれビール育ち。東京を拠点にフィギュアイラストレーターとして活動。
年間制作フィギュア300体。年間消費ビール300リットル。
ナイキ、NEC、タワーレコード、アシックスヨーロッパなどの広告を手がける一方、作家として年間4〜6回のペースで東京をはじめ台湾・香港・NY・LA・パリなどで個展を開く。
著書にフィギュア写真集「サトシ君のリストライフ」「ジバコレ」絵本に「お野菜戦争」「サトシくんとめんたくん」がある。テレビ東京にて『ケーキーズ』が放送されDVD化。(アスミック・エース)
2008年『きのこの山』キャラクター「きの山さん」をデザイン。2009年「たけ里ブラザーズ」デザイン。2010年いきものがかりベストアルバム『いきものばかり』ジャケット担当。金子ナンペイ氏とのユニット、メンペ(東京メンズペインター協会)としても活動中。
(以上www.dehara.comより転載)

 

 

◆地元が好きです

―尊敬している著名人とか、お好きな芸能人は?
絵を描く人で影響を受けたのは、横尾忠則さんと湯村輝彦さんですね。活躍してたころの感じを見てたら、すごいワクワクする。
世の中といっしょに盛り上がって、認められて、さらにおもしろい表現ができるようになっていってる。
ああいうスターは今時いないので。
あとラジオが大好きで、いつもつけっぱなしなんですけど、伊集院光のラジオを中学か高校のころからずっと聞いてますね。
 

―ライバル視してる人はいます?
ライバル視ってことはないけど、村上隆さんとか、ああいう風に自分のものを海外に出していくのはすごい参考になりますね。
作品は嫌いですけど(笑) 考え方ややり方はおもしろいなと。
 

―好きな音楽はなんですか?
何かな、今は…普通の日本のロックっぽい音楽はいつも聞いてますが。少女時代も好きでした、去年。あとYUIが好きですね。
アイドルはそんな好きじゃないです。
あ、あとありました、今好きなのが。小林勝行っていう人。
日本のヒップホップ、僕、普通苦手なんですけど、いわゆるポップな売れてるやつじゃなくて、なんかこうごりごりした、自分の境遇を歌ってて、そんなこと聞きたくないよ、っていうタイプの。
そういうのも普通あんまり好きじゃないんですけどその中ですごい、いいのがあったんです。犯罪の臭いがして怖いんですよ。
9分くらいあって長くて、映画見てるような感じで。
あと神戸の人で、地元の言葉でしゃべってるのがリアルですね。
(編集部注:『108 bars』という曲です)


写真:商品化されたフィギュアも売っています 


―そう言えば、デハラさんも地元感、大事にされてますよね。
はい。僕、高知県の観光特使とかもやってて地元がすごい好きなので。地元はニュースがないので、帰るたびにいろいろ取り上げてくれます。


―地元の名士ですね。
いや名士じゃないですけど(笑)、いつも飲みまくってるので、あいつまた飲んでる、みたいな。


 

◆世界のパンチラ、パンチラの世界

ーところで「パンチラ」…これも1つのテーマとして、やってらっしゃるようですね。
パンチラはそうですね、日本を表す大きいテーマだと思います。
パンチラを深く考えるまで気付いてなかったんですけど、日本人のパンチラにかける情熱ってすごいですよ、やっぱり。


ー(爆)
アニメにしてもアイドルにしても、見えそうで見えないけど、みんなが見たいって分かった上での衣装作りだったり。
で、承知の上でやってるくせに見えたら恥ずかしい、みたいな。そこが日本的で。
見る人も、例えばエスカレーターで写真撮って大学教授が職を失うっていうのは、犯罪がせこくてありえないことじゃないですか。
 

ー展覧会「世界のパンチラ」の反響はどうでした?
海外では、日本文化の説明っていう風にしてますね。もともと着物文化から進んできたっていう。
 

ーそうなの!?
はい。隠す文化があるからこそ、見えるか見えないかにみんなドキドキしてしまうという。
マリリン・モンローとは根本的に違うんだという説明をしてるんですね。
 

ーそれはデハラさん独自の「パンチラ論」ですね。
そうですね、研究してる人あんまりいないので(笑) 
でも1人、そういうの研究してるおじさんが社会学者でいてますね。
その人の本は読んでます。
本のタイトルは…パンチラ…うーん、パンチラっていう言葉が入ってたと思います。
おじさんの社会学者なのに、そんな砕けた単語が入ってるのがおもしろいなと。
いやパンチラじゃなかった、パンツがなんとか、ですね。


ー分かりました、パンツで検索してみます(笑)
はい、出てくると思います。
(編集部注:『パンツが見える。―羞恥心の現代史』 井上章一(著)、朝日選書 でした)


ーところで「世界のパンチラ」ってことは、各国のパンチラ…?
いやそれが全然関係ないんです。
違うじゃないかっていうのもおもしろいかなと。気に入ったのでそれつけてます。
今、「世界のパンチラ」のガチャガチャ第2弾を企画してます。
 

ーガチャガチャがあるんですね! 
問題になってるんです。子どもが「お母さんこれ何?」って(笑) 
日本人はパロディーになるくらいにみんな日ごろから分かってますよね、「あ、電車でバッグがひっかかって、ああ、あるある」って。
だから男の人より女の人のほうがよくやってますね、ガチャガチャは。


ーパンチラのシチュエーションをフィギュアにする、ということなんですね。
そうです。電車で座ってるにしても、その人が学生服なのかOLなのか、ぜんぜん状況が変わってくるので。
パンチラのシチュエーションはみんなすごいんですよ。
男の人はパンチラの話しだすと、みんながみんな語れる。自分の経験したことだから。
俺小学校の時のあれ、ずーっと覚えてる、とか思い出のパンチラがみんなあるんです。
 

ー(爆)
飲みにいった時それぞれが語れるから盛り上がれるんですよ。
みんなおもしろいし。シチュエーションが独特だから。今第2弾のために、そういうので情報を収集してます。
 

ーあの、デハラさんのツイッター拝見して「メルボルンでパンチラ見た」ってあったんですが(笑)
見ました(笑) あの相手がいることですからね、公にすることじゃないんで詳しい状況はちょっと(笑)
…ただ大味だなって思いました(笑) 
結構丸見えじゃないかっつう。チラッと言うよりは。
 

ー(爆)オーストラリアってなんでも大味なんですよ。
でも元気はでました(笑) 展覧会の搬入で疲れてたんですけど。
 


写真:今回の展覧会では、サトシ君以外のキャラクター・グッズもいろいろ

 



◆基本は恥ずかしいです

ーイラストレーターの金子ナンペイさんとのユニット「メンズペインター協会」について、教えてください。
はい(うれしそうに)、メンペのことですね。
5,6年前からなんですけど。
何をやるって決まりはなくて、劇をやったり、踊り踊ったり、学校形式にして授業したり、普段の仕事と直接関係なくておもしろいと思ったことをやってます。
頼まれては描いてって作業をやってると変化がないね、って2人で話してて。金子さんもすごい忙しい人なんですけど。
最初は2人で展覧会とかやってたんですけど、そこでちょこっとやった女装が反応良かったので、じゃあ今度は女装だけで劇やってみようか、とか。


ーお客さんの反応はどうでした?
みんなぽかんとしてました。
 

ー(爆)
メンペのイベントにはお客さん5,60人くらい来ますけど、場所借りてやるからお金も取るので、いつも申し訳ないなという。
こんな中途半端なものを(笑)


ーメンペのブログで拝見したんですけど、デハラさん女装きれいですよね。
いや女装きれいって(笑) いや、きれいじゃないでしょ、あれ。見なくていいです見なくて。
(編集部注:見たい方はここをクリック。ほんとにきれいです)
 

ー失礼な質問ですけど、女装とかして恥ずかしいっていう気持ちは?
恥ずかしいっていう気持ちはすごいありますね。
普段から恥ずかしい。基本は。
恥ずかしいっていう気持ちと、なんかこう変なことしたいっていう気持ちが、こう。


ーあとで、やんなきゃよかったなと後悔することはあります?
やんなきゃよかったな、ってことはないですね。やりたくてやってるので、それは。やらされてるわけではないので(笑) 
2人の間で意見が食い違うときっていうのはありますけどね。
「僕は少女時代になりたい」、向こうは「いや、KARAはどうするんだ」って言って、じゃあ大変だけど両方ともやりましょうかって。
そんなことで揉めるようなことじゃないし、って(笑)


ーとりあえずおもしろいと思ったことを全部やる、って感じですよね。
そうですね。うん。
好きなことやってるっていっても、結局作業的になるので。
朝起きて、電話だのメールだの打ち合わせのやりとりとかして、バイトの子来たら指示して、夜中になったらやっと自分の時間になって…ってやってると、それが1カ月同じになると、会社員とそんな変わらないんじゃないかと思ったり。
それで高知帰ったり、変化つけるようにしてます。
 

ー変化をつける、がキーワードかもしれないですね。
ああそうですね。外国でやるのもそうですね。


 

◆プロのクリエーターになりたい人たちへ

ーところで、今、何をしてるのが一番楽しいですか?
何ですかね…あんまりその、嫌なことがないというか…。
でも昼間にちゃんとものつくって、夜飲むのが楽しいです。
忙しくて打ち合わせばっかりで、ものをあんまり作ってなくて、でも飲み会ばっかりの時ってあるじゃないですか。
そういう時はなんか罪悪感感じながら。でも飲みだしたらあんまり関係ないですけど(笑) 
メルボルンでも毎日飲んでます。


ー最後になりましたが、メルボルンでクリエーターになりたいとがんばっている日本人の若者にメッセージをひとこと、お願いします。
日本でもどこでもいっしょですけど、自分の作ってるものをどこへ持っていったらお金になるかを考えないと、絶対プロにはなれないっていうことですね。
 

ーいいアドバイスだなあ。
いや、ほんとに思いますもん、学校行ってる人に対しては特に。
学校の中で最下位でも、自分のものに合うところに持っていけば仕事になると思うし。
 

ーなるほど~。それはほんとにそうですよね。今日はおもしろいお話をいろいろありがとうございました。
ありがとうございました。

 

聞き手・文:田部井紀子 写真:髙阪竜馬




■Figure Exhibition by DEHARA YUKINORI
SATOSHI ~The last Salaryman~


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No Vacancy Gallery
QV,34-40 Jane Bell Lane, Melbourne,3000
(Access from Russell Street)
no-vacancy.com.au/

日程:3月22日~4月1日
火~土:11am-5pm、日:12pm-5pm

■デハラユキノリさんウェブサイト
www.dehara.com

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