インタビューinterview

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日本旅行オーストラリア 本社営業部部長(General Manager) 水上 勝雅氏 インタビュー

シドニーから見たメルボルンの魅力とは?

2009年1月10日掲載

【プロフィール】
水上 勝雅 Katsumasa Mizukami
北海道雨竜郡妹背牛町出身。1967年生まれの未年。日本ではJTBに入社し一般団体営業マンとして国内、海外の慰安・親睦旅行等を手掛ける。その後、1991年にワーキングホリデーで渡豪。日本旅行オーストラリアへ入社し現在に至る。
 

 
 
インタビュアー:長谷川 潤

 

--オーストラリアでの日本旅行さんのサービス内容を教えていただけますか?

日本旅行オーストラリアの事業はインバウンドとアウトバウンドの2つの柱となります。そのうち事業の大きな柱となるインバウンドは更に大きく旅行形態別にパッケージ旅行(企画商品)と団体に区分されます。募集型企画旅行といわれるパッケージ旅行では日本からの旅行者(お客様)の現地受け入れに伴うマーケティング、企画、仕入れ、見積もり、手配、催行・品質管理を主要業務としています。ここ数年の売れ筋コースはグレートバリアリーフと熱帯雨林2つの世界遺産で人気のケアンズ1都市滞在から、ケアンズ/ゴールドコースト、ケアンズ/シドニー、ケアンズ/エアーズロックといった2都市周遊パターンになります。2009年以降については日本からの直行便が増えて益々アクセスが良くなった“永遠のビーチリゾート”ゴールドコーストのブームが再びくるかもしれません。
また、受注型企画旅行といわれる団体旅行は主に企業の慰安・親睦旅行・インセンティブ(報奨旅行)、福祉・農業関連の視察(テクニカル・ビジット)を中心とした一般団体と修学旅行・語学研修などの教育旅行の2つに区分されます。特に教育旅行は時差がない、治安が良い、英語圏、ファームステイ・ホームステイ・現地学校との交流プログラムといった体験型英語学習プログラムが組みやすいといった理由からここ数年順調に取り扱いを伸ばしております。
アウトバウンド(オーストラリアから日本への旅行)では航空券販売、宿泊予約などが中心ですが、「SACHI TOURS」というブランドでスキーツアー、東京、京都などの都市へのパッケージ商品展開もしています。また、アウトバウンドの団体旅行需要の傾向として、日本からの姉妹校提携、修学旅行を通して学校交流、ホームステイなどを積極的に受け入れてきたオーストラリアの現地校が、今度は日本での学校交流、ホームステイを希望し、実際に行うケースが増加してきています。
現在、会社で力を入れているのは、富裕層向けの高額商品の開発、販売展開です。日本ではお1人様100万円を超えるような高額ツアーの需要が伸びてきています。求められる商材は高級感のみならず限定性、日本マーケットでは紹介されていないような希少価値の高いものばかりです。また、こういったツアーですからお客様1人1人のご要望に応じたきめ細かなコンサルティングによるオーダーメイド、オリジナリティーの高い旅の提案も行っていきます。
また、ウェブ商品にも力を注いでいます。ここ最近までの円高ドル安、燃油サーチャージの高騰を受け、日本国内の店頭は国内旅行にどんどんシフトしています。また、競合他社商品があまりに多く、オーストラリアのパンフレットのスペースを確保することが容易ではない状況です。そんな中で、ウェブサイトでの販売拡大は旅行会社各社に取って命題であり、特にウェブ専用商品の開発、充実をはかっています。これら商品の特色として打ち出せる「手軽さ」、「季節の旬の素材」、「価格競争力」をテーマに今後も現地からの提案に力を入れていきます。
これからもより多くのお客様の声を反映しながら、弊社を通してお越しになられた全てのお客様に「安全」、「快適」、そして「楽しい」思い出作りの演出を心掛けていきます。


--日本旅行さんとしてオーストラリアの旅行業界の現状をどう思われますか?

円高ドル安の為替相場や燃油サーチャージの低下などは海外旅行にとって追い風となる久々に明るい話題ですが、大阪、名古屋からのケアンズ直行便運休に伴う航空座席供給量の大幅減少や日本経済における景況感の大幅悪化など依然、海外旅行を取り巻く環境は大変厳しい状況です。
ただし、オーストラリアの優位性は一般消費者のオーストラリア旅行に対する期待、需要が各統計機関のアンケートから取ってみても非常に高いことにあります。オーストラリアは多くの方々が一度は行ってみたい方面であり、非常に高い期待を抱いているにも関わらず、これだけオーストラリアへくる旅行者が減少しているのは、前述にある市場環境等の外的要因のみならず、旅行会社の消費者に対するアプローチの仕方に大いに問題があるのではないかと考えています。これだけオーストラリアに対する継続的な高い需要がある限り、市場に対するアプローチ手法次第では、まだまだ旅行者を増やすことができると思っています。


--今後、日本旅行さんでメルボルンで企画されている商品はありますか?

メルボルンに関して今後強化していく商品は、現在プロモーションしているロングステイもそうですが、新たに「セルフドライブ・ツアー」を予定しています。メルボルンは車で少し走れば、グレート・オーシャン・ロード(The Great Ocean Road)やストロベリー・ファーム、ラベンダー・ファームが広がるモーニントン半島(Mornington Peninsula)などの観光スポットがたくさんあります。2009年にはメルボルンのセルフドライブ・ツアーを開始することが決定しています。オーストラリアのカー・ナビゲーション・システムは既に開発済みで、お客様に日本でナビをお渡しし、現地で車に搭載してドライブを楽しんでいただくツアー内容になります。レンタカーで「異国の地でのドライブ」、「海岸線を走る楽しさ」をお客様ご自身がより能動的に旅行に関わり、体感して欲しいと思っています。
もうひとつはイベントに合わせた集客です。ホテル宿泊料金の上昇など料金面での問題はあるものの、年間を通してのプロジェクトとしてお客様にアプローチ、集客できるのはやはりイベントです。メルボルン・カップやF1、全豪オープンテニス、メルボルンマラソンなどに合わせたスケジュール、特別プログラム、また、観光素材を盛り込み、需要が見込まれる特定マーケットへの販売アプローチを日本の団体営業マン、販売店スタッフに対する現地からの売り方売り先提案をより適切なタイミングで強化していくことが重要だと考えています。


--オーストラリアから日本へのスキーブーム熱は感じられますか?

そうですね。今に始まったことではありませんが、日本の自治体がオーストラリアからの観光客の誘致に大変積極的に取り組んでいます。自治体と提携して、プロモーション活動を今後も積極的に行う予定です。


--プライベートでのこだわり、またはこだわりのものはありますか?

去年の6月ごろから継続しているのが、毎朝自宅と会社間の約6km、1時間以上歩いています。朝歩き出して効果的だなぁと感じているのが、早起きできること、その日1日のスケジュールを組み立てたり、その日のミーティング内容の構成を練るなどイメージトレーニングには極めて有効です。またシドニー市街に入るまではカフェ、パン屋などが多く、朝早くから町には活気があります。運動する機会も減ってきて、健康面も気を使わなければならないため、そういった面からも公私ともに非常に良い影響を受けています。気分によっては道を変えてみたりして楽しんでいます。私が歩くようになってから、社内のスタッフでも歩く人が増えてきたようです。


--日本旅行さんよりメルボルンのみどころなどメッセージをお願いします。

アンケートやお客様の声などから、メルボルンは「また是非来てみたい」という方々が多く、他のオーストラリアの都市と比較しても潜在的なリピータ層が高い都市だということが判っています。
メルボルンの商材は過去10年ほど“リトル・ペンギン・ウォッチング“継続プロモーションしてきましたが、その他にもたくさんの“みどころ“がメルボルンには点在しています。実際、現地に滞在し、お客様が見て感じていただいているメルボルンを、さまざまな販売チャネルを通して知っていただき、更にお客様に楽しんでいただける日本旅行ならではのコース、プログラムをご紹介していきたいと思います。

 

日本旅行オーストラリア本社 / シドニー支店
URL:http://www.nta.com.au/
住所:Level 9, 135 King Street, Sydney, NSW 2000
TEL:(02) 9338 2300
FAX:(02) 9221ー金 AM9:00-PM5:30
定休日:土・日曜・オーストラリア祝祭日

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