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日本体育大学武道学科 武道・伝統芸能実演会

披露された日本の精神

2010年2月17日掲載

 2010年2月13日(土)午後4時から、アルバート・パーク(Albert Park)にあるメルボルン・スポーツ・アクアティック・センター(Melbourne Sports and Aquatic Centre)にて、体育大学武道学科の学生により武道と伝統芸能の実演会が催された。スイミングプールやフィットネスジムがあり、スポーツ好きの地元民で賑わうこの場所。その中でも、普段はバスケットボールなどの試合が行われるショー・コート(Show Court)が、この日は日本の空気で満たされた。

日本の武道・伝統芸能の専門家を目指して勉強、稽古に励んでいる日本体育大学武道学科の3年生。毎日の鍛練の成果を披露するため、また国際舞台における日本の文化の意義を実感するために、海を越えてはるばるオーストラリアはメルボルンまでやって来た。日本の武道・伝統芸能を初めて見るという来場者が多いと予想される中、彼らの役割は重要で、日本代表としての素晴らしい実演に期待がかかる。

  

そんな期待を胸に、会場にはオーストラリア人、日本人問わず多くの人が集まった。約600ある観客席を埋め尽くさんとするほどの来場者たちは、日本の伝統芸能に興味を持つ人、武道好きの人、日本の空気を味わいたい人などさまざま。中でも親子連れが目立っていた。

 

和太鼓演奏「弥栄囃子」を皮切りに実演会は始まった。威勢の良い掛け声が会場を一気に引き込んだ。力強い太鼓の音と共に見ている側の気持ちも高揚していく。続く民族舞踊「エイサー」は沖縄本島の盆踊り。軽快なリズムと躍動感溢れる踊りの一体感に観客も盛り上がった。その後も、日本舞踊「俄獅子」、「海流」を披露。日本らしい華やかな衣装と堂々とした力強い動きに目を奪われた。

 
  

弓道、相撲、柔道、空手道、少林寺拳法、なぎなた、剣道といった日本の武道を紹介。基本の礼に始まり、基礎の動き、またそれを応用したものを披露。試合形式でパワー、スピード感、テクニックを見せつけた。

射撃にいたるまでの所作に重きを置く弓道。観客は、息を飲んで一連の所作を見守り、矢が的に当たると拍手を送った。

 

日本の国技として人気の相撲。基本の四股、すり足などの後、実践形式の稽古を披露。パワーとパワーがぶつかり合う様に、観客は驚きのような歓声を上げた。
 

  

続く柔道は何より大事な受け身から。アクロバティックな受け身には拍手が沸いた。さまざまな種類の投げ技を披露した後、最後には講道館柔道「古式の形」を披露。柔道の根本が垣間見られた。

 

空手道では、女子学生が見事な板の四方割を披露。最後の1枚を頭突きで割ろうとして会場の笑いを誘った。また少林寺拳法では、次々に襲いかかる相手に対して1人の学生が反撃するという護身術としての拳法を紹介。目が追いつかないほどのスピードとテクニックは圧巻だった。

 

世界大会が開催されるまで普及しているなぎなた。アビリル(Avril Lavigne)のヒット曲に乗せて「リズムなぎなた」を披露。新たな競技に会場は興味を引いていた。その後、なぎなたとの異種試合を含む剣道の3試合を行った。目にもとまらぬ早業は、目で追うのに必死だった。

最後は「花笠音頭」。会場いっぱいを使って学生全員で山形県の民謡を踊った。途中からは来場者を巻き込み、日本のお祭りのような雰囲気の中、子供から大人まで、日本人やオーストラリア人全員で賑やかに踊った。手ぬぐいを渡され、踊り方を教えてもらいながら日本を体感している姿には笑顔が溢れ、日本の文化の下で、言葉の壁を越えての国際交流が生まれていた。

 

メルボルンで、2時間半に渡り披露された日本の武道と伝統芸能。初めて見たオーストラリア人、子供たちの目にはどう映っただろうか?技術や華やかさに感服するだけでなく、日本の心や武道の精神も確かに伝わっているように見えた。

また、日本についての興味をより一層持たせるのに十分な、素晴らしい演技であることには間違いなかった。日本の代表としてメルボルンで演技を披露した日本体育大学武道学科の学生のみなさん、お疲れ様でした!

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