バリスタ体験記③金藤 智也
更新日: 2016-02-25
こんにちは。
今回は私のバリスタスクール卒業生 金藤 智也さんを紹介したいと思います。
ス クール受講時の彼は技術の飲み込みも早く、それを安定して出来る器用さも持ち合わせていました。すぐに彼の才能に気付き、私は系列のお店で働いてほしいと 思いましたが声をすぐに掛けませんでした。それは、彼に自分の足で歩いて、もがいて自分なりの”バリスタとは?”という答えを見つけてほしいと思ったから です。大変だったと思いますが、この期間が彼をひと回りもふた回りも成長させたと思います。
では、金藤 智也さんのバリスタ体験記をお楽しみ下さい。
こんにちは。現在メルボルンでバリスタとして働いている金藤智也(きんとうともや)と申します。メルボルンに来て本格的にバリスタを始めてから7ヶ月、1月 に渋谷で行われたDouble Tall Latte Art Championship で3位を取ることができました。ここに至るまでの僕の経験をぜひ紹介させていただきたいと思います。
+留学?わーほり?
日本では外大に通う僕は、周りの人がどんどん海外に留学していくことに焦りを感じていました。英語や海外が好きで外大に入ったものの、いざ入ってみると自分 の英語のできなさを痛感していたこともあり、何かしなくてはという思いでいました。海外に行きたいという気持ちはあったのですが、周りの人と同じように海 外の大学や語学学校に留学することには魅力を感じませんでした。その時、メルボルンの語学学校にバリスタコースがあるのを知り、ただ英語を勉強するよりも何か身につけながら英語も一緒に勉強していければと、僕はワーキングホリデーを選択しました。バ リスタコースの後は、ローカルのカフェで働くことができればいいなとは思っていたのですが、決して簡単なことではないと知っていたので、バリスタを仕事に はできないのだろうなと思いながら、出発しました。たとえそうなったとしても、海外で一人で生きていくことがその時の僕には必要な気がしたのです。
+5週間vs1日レッスン
5週間のバリスタコースはあっという間に過ぎて行きました。僕には初めてのことばかり。タンピングって何?から始まり、基本的なコーヒーの作り方、接客用 語、レジュメの作り方を学びました。コース自体はメルボルンでバリスタとして働くことを目標としたものですが、必ずしもそれを目的とした人ばかりではな く、せっかくカフェの街メルボルンに来たのだからと記念で受けている人も多いように感じました。メルボルンでバリスタをするのに語学学校のバリスタコース はあまり意味がないという意見もありますが、何も知らない僕にとってはそうではなく、基本を学べるいい環境であったと思っています。そして何より、コー ヒー作りを真剣に学びたいという気持ちが日に日に大きくなっていくのでした。基 本を学ぶことはできたものの、5週間が終わった時の僕は正直ローカルのカフェで働けるだけの技術も知識も度胸も足りていないと感じていました。そんな時友 達の紹介で下山さんを知り、レッスンを受けることにしました。そのレッスンでは、自分がローカルのカフェで働くには何が足りていないか、何が最も必要なの かを明確にご指摘いただき、学校では学ぶことのできなかったより実践的な「働く」ことをメインとしたものでした。この短いレッスンの中で、5週間で学んだ ものと同等かそれ以上のものを得られたような気がしていました。
+これが現実…
しかし、現実はやはりそんなに簡単にいきませんでした。その次の日から毎日カフェにアプライする辛い日々が始まりました。朝早起きして、まずインターネット で募集されている求人にメールを送り、それが終わると街中を歩いて目に付いたカフェにしらみ潰しにレジュメを配って歩きました。昼食を食べながらカフェの ピークタイムが終わるのを待ち、その後はまた配り歩く。夜帰ると晩御飯を食べながらパソコンで職探し。こんな日々を毎日欠かさず約1ヶ月続けました。イン ターネットと配り歩いたレジュメの数を合わせると500枚はゆうに超えていたでしょう。そ れでも働けるところは見つからない。それもそのはず、インターネットの求人はほとんど経験2年以上とか英語が流暢に話せるとかの制限付きばかり。そんなこ とにびびっててはいけないと、関係なくアプライするのですが、実際に経験がなく英語もろくに話せない僕を雇ってくれるところはありませんでした。本気でメ ルボルンでバリスタがしたいなら日本にいるうちに経験を積み、英語の勉強をしていればよかったのですが、そんなことを考えていても仕方がないのでとにかく がむしゃらにアプライし続けました。メ ルボルンのすごい所は、どんなにアプライしてもアプライするカフェに困らないことです。一つの通りにカフェが何件もあったりしてどこにでもカフェはある。 自分が行動すればするほどチャンスが増える。経験がない人がメルボルンでバリスタの仕事をゲットするのは本当に難しいことですが、僕に限っては色んなカ フェにアプライし、トライアルとして数時間働かせてもらうことを繰り返し、その間にどんどん経験を積んでいきました。始めのうちはトライアルすらさせてく れない。トライアルをさせてくれても実際に働いた経験がないからすぐぼろがでる。トライアルと称して無給で5時間洗い物させられたり、雇うと言われたカ フェを1日でクビになったこともありました。諦めて日本に帰ろうかとも何度も思いました。
それでも、経験ない僕でもこんなにカフェがいっぱいあればどこか雇ってくれる所がある、どうしてもバリスタとして働きたいと強い心を持って仕事探しに奮闘し ました。そうして一ヶ月が過ぎ、心が折れかけ、お金も底をつきそうになったそんな時、やっとの思いでローカルのカフェで働けることになりました。努力が 実った瞬間でした。
+ついにジョブゲット!もファームへ?
同時期にもう一つカフェが見つかり、二つのカフェを掛け持ちしながら働く生活が始まりました。どちらのカフェもすごく良くしてくれて、英語ができない僕に、 「英語ならここで少しずつ練習したらいいから!」と優しい声をかけてくれて、困ったことがあれば助けてくれました。ここで、バリスタとして働くことをいろ いろ学びました。そ んな生活も2ヶ月ほど頃、特に大きな不満があったわけではなかったのですが、この生活が物足りなくなってきたです。その前まではバリスタとして働くことが 最終目標のように思っていたのに、贅沢なものです。バリスタとしてもっと色んなことをしたくなりました。でもそれが何なのか。自分はどうしたいのかわかり ませんでした。ワーホリの限られた時間の中で、思い悩みながら日々をこなしていくことがすごくもったいないように感じました。そこで、全てをリセットしようとファームに行く決意をしました。ファームに三ヶ月行けばセカンドビザが取れ、もう一年メルボルンで挑戦できると思ったからです。今振り返ると、そう思ったのもその時の生活からただ逃げ出したかっただけのような気もしますが。そ して働いていたカフェをどちらも辞め、ファームでの仕事を探し始めました。そしてそれと同時に、今まで働いていたので挑戦できなかった、いわゆる有名店と 言われるカフェにアプライだけしてみて、だめだったらきっぱりファームに行けると、ダメもとで幾つかアプライしました。
+Supperrandom
その時、今の師匠と言える下山さんに仕事のお話をいただきました。ほとんどファームに気持ちが傾いていた僕はどうするか少し悩みました。しかし答えはすぐに 出ました。僕はコーヒーが作りたい。コーヒー作りが好きだと。それが、下山さんのもとでできるなんてなんて幸せなんだろう。下 山さんのトライアルになんとか受かった僕は、一緒に働かせてもらえることになりました。そこからの毎日は新しいことの連続。今までのバリスタの仕事が遊び だったんじゃないかとも思えるほど、バリスタとしての技術、知識、働き方を一から教わりました。毎日ついていくのに精一杯。いや、ついていけてなかったと 思います。それでも必死に食らいつきました。毎日が一時間くらいに感じました。数 週間経って気づくと、自分でもびっくりするくらい働き方が変わっていました。今でもまだまだ満足に働けてはいないと思いますが、自分の成長をこんなにも感 じたのは初めてでした。今では一日に何度もお客さんから、コーヒー美味しかったよ!という嬉しい声を頂きますが、覚えてる限り以前働いていたカフェでは一 度も言われたことはありませんでした。コーヒーの味、技術、振る舞い、親しみやすさなどその原因は色々考えられますが、お客さんに初めて言われた時、自分 はこれがしたかったんだと心から思いました。そしてそれは今でも変わることなく、お客さんにコーヒーを褒めてもらえたらそれだけでその日一日ご機嫌になれ ます。
+アートで世界へ
その喜びはコーヒーの味を褒められた時はもちろんですが、アートを褒めてもらった時も同じくらい嬉しいものです。アートはバリスタコースで、基礎のハート、 チューリップ、ロゼッタは学んでいましたが、そこからは全て独学で学んでいきました。youtubeで何度も何度も同じアートを見ては真似しましたが、や はりそれだけでは到底形にはなりませんでした。し かし今では下山さんを始め、一緒に働いているバリスタの方達のアートを間近で見ることができ、アドバイスをもらうこともできます。ダブルトールの大会直前 は、練習する機会をたくさん設けていただき、同僚みんなが応援してくださいました。こんなに素晴らしい環境があり、Superrandomの名に恥じる戦 いだけは絶対できないと思いました。その結果、三位という順位を頂くことができました。全ては周りで支えてくれた方達のおかげだと思っています。この場を 借りて、お礼を言いたいです。そして3月のニューヨークで行われるCoffee Fest Latte Art World Championshipという世界大会への出場も決まりました。今はコーヒー作りが楽しくて仕方ありません。
Tom
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店舗情報
Tom Wilson
36 Wilson ST
Weekdays 6:30-4:00
Weekend 7:30-4:00
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□スクールご案内
本スクールは、ここメルボルンでバリスタとして働くことを目標としています。
現地のバリスタスクールを卒業後も仕事が見つかってない方、バリスタ未経験の方、日本では経験があるがオーストラリアのスタイルを知らない方をメインにレッスンをしています。
興味がある方は、+nobu ページにメッセージをお願い致します。
https://www.facebook.com/plus.nobu
■現在、Barista Text 共同開発中!
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+nobu