バリスタ体験記④ 田原 恵実
更新日: 2016-09-26
こんにちは。
今回紹介するのは、スクール卒業生の田原 恵実さんです。 田原さんはカフェは勿論、飲食店で働いた経験さえもありませんでした。そんな彼女がどうやってスキルを身に付け仕事を見つけたか…。人並みならぬ努力があったと思います。体験記を読んで、すごく純粋な彼女の気持ちや仕事探しの風景がリアルに伝わってきて感動しました。
では、田原 恵実さんのBarista体験記をお楽しみ下さい。
はじめまして。最近カフェで働き始めようやく階段を一歩上り始めたばかりの私ですが、少しでも誰かの励みになればと私の今までの経験を書いてみたいと思います。
+夢の海外生活と挫折
長年、海外で生活することが夢でした。十年間働いた幼稚園の先生を辞め、英語が学びたい、新たな世界で新たな挑戦がしたいとワクワクいっぱいで空港を後にしました。ところが海外生活の現実は想像とのギャップが大きく、語学学校卒業後すぐに日本へ帰ることにしました。
『またここへ戻ってくるかは日本に帰ってから決めよう。』
帰国後、馴染みある仲間や家族に迎えられ不安やストレスが減っていったのとは対照的に、頭の片隅のどこかにある問いが段々と大きくなっていきました。
『本当にこのまま挑戦せずに日本にいていいのかな』
+決断
気付けば日本の生活も約半年が過ぎたころ、
『もう一度メルボルンへ戻り自分に挑戦したい』
という明確な答えがありました。
”英語を習いたい、その為に英語環境で働きたい”という気持ちをしっかりと胸に刻み、メルボルンへ再出発しました。
メルボルンへ到着後は、不安だったレジュメ配りをスタートさせました。上がり症で英語に自信のない私は、いざレジュメ配りに出かけても、うろうろして、今日は自分に甘くてもいいんだと言い訳をし、一枚も配れずに帰ったこともありました。そんな中、初めの一枚目を出したのが日本でも馴染みのある日系メーカーでした。そしてその日の目標5枚を達成し、どっと疲れて家に帰りました。
そうして少しずつレジュメを配りつつ考えていたのは、私何がしたいんだろう。英語環境であれば何でもいいのかなぁ。“キッチンハンドや皿洗い何でもやります!!”そんな感じでいいんだろうか。。と疑問ばかりでした。
+コーヒーとの出会い
レジュメ配りに精を出している時、ふとコーヒーの街メルボルンならではの風景に目を奪われました。朝出勤前にカフェにコーヒーを求めて並ぶ人たちやテイクアウェイカップ片手にかっこよく歩く沢山の人、立ち並ぶ多くのカフェ、それにコーヒーの香りです!!!自然とコーヒーへの興味が湧いていったのは言うまでもありません。何となくカフェで働きたいという気持ちがあった一方で、実際には何がしたいのかよく分からなくなっていたのも事実でした。
そんな中レジュメ配りに行ったカフェのお兄さんに仕事がないか尋ねてみたところ、「うちは今募集していないけど、あっちの通りに沢山お店があるよ。」と情報をもらいました。お兄さんに言われた通り歩いていると、ふとコーヒー豆が沢山並んでいるお店が目に入りました。CISCOというロースターのお店でした。気になり中へ入ってみると、陽気なお兄さんが優しい笑顔で話し掛けてくれ、仕事を探していることを伝えると一つのカフェを紹介してくれました。お店の名前はSUPERRANDOM。さっそく次の日行ってみると、のぶさんが働かれているカフェでした。その日はお会い出来ませんでしたが、スタッフに紹介して頂いたのぶさんのBlogを読みバリスタという仕事に興味が湧き実際に会いに行く事にしました。これが私とコーヒーとの出会いです。
+バリスタスクール
のぶさんはお忙しい中、丁寧に対応してくださり、誠実な人柄といれてくれたコーヒーの素晴らしさに感動し、これにかけてみようと思いました。バリスタスクールについて簡単に説明をしてもらいました。のぶさんは「卒業生は全員きれいにミルクをスチームできるようになってから卒業するよ。」と言いましたが、それでも内心は
(いやいや、全員できても不器用な私にはできないかも)
と疑問に思っていました。
そして始まったスクール。自分では想像もしていなかった程に基本の基本から教えて頂き、知識、技術面を含め本当に内容が充実していました。丁寧なご指導の中、これでもかこれでもかと何杯も何杯もミルクをスチームし、そのおかげで自分でもきれいな艶のあるミルクが作れるようになりました。”のぶさんが言ってたことは本当だったんだ。”と実感し、自信が持てた瞬間でもありました。
+仕事探し
スクールと平行し、実際の仕事探しについてもアドバイスを頂きレジュメ配りもしていました。みなさんもご存知の通り経験重視のこの国では99%の確率で
『Do you have experience?』
と聞かれるのです。飲食店で働いたことさえない私はそれにどうしても『Yes』と言えず、手を左右に振られ、その度に凹んでいました。笑。経験がないというだけで一杯のコーヒーさえ作らせてもらえません。何とか友人の紹介のカフェで一杯作らせてもらいましたが『Disgusting!』と言われ、やっと仕事が決まったと思った場所では急にシフトの連絡が来なくなったりとため息のでるような事もありました。レジュメを出した時に
『連絡するよ。』と言われ、連絡がなくまたこちらから連絡しても反応なしというカフェも何ヶ所もありました。レジュメを配った枚数は増えても、断られるのには慣れず、ベッドから出られない日もありました。ゴールの見えない中、何でこんなに無理しなくてはいけないのか、いつまで続くのかという葛藤が3ヶ月ほど続きました。そんな時、心の支えになったのは他のバリスタのみなさんの体験記でした。何度も何度ものぶさんや生徒さんの記事を読み、”チャンスを掴んだ皆さんはもっと努力をしている”、”ひどい対応を受け、つらい思いをしても頑張っている”という事を知り、それが次の日の一歩になりました。
+無我夢中
そうしながら通ったスクールが私の中では楽しみでもあり、安全基地でした。いつでも明るく迎えてくださり、時に笑いながら励まして頂きました。スクールも後半になりレジュメ配りやトライアルについて相談をしていた時、
『どんなとこにレジュメを配ってる?』
と聞かれ、
『アジア人が多いところは避けたり…』
と答え、自分は今までお店を選んでいたという事に気付きました。”もうどこでもいいからコーヒーが作りたい”そういう思いが強くなり、どこでも配ってみようと踏み出したところ、約90枚目のレジュメで現在勤務しているカフェに出会いました。
始めはコーヒー以外の事から覚えるように言われ、早くそこへ辿り着きたいと必死でした。動きがスローだからとシフトを減らされたり、今後仕事を続けるかどうか考えるように言われた事もありました。もう一度頑張りたい、諦めたくないと意思を伝え、一ヶ月半が経った頃、コーヒーを少しずつ作らせてもらえるようになりました。スクールでコーヒー作りが楽しいと感じたように一杯一杯作るのが本当に楽しくて、仕方ありませんでした。コーヒーの事が頭から離れず、あまり眠れなくなった事もありました。次々に疑問が浮かんできて、それを英語でどう聞こうか、コーヒーの温度やスチームの時間など色々な事が気になり始めました。早く出勤して練習をしたり、色々なことを試してメモを繰り返しました。コーヒーマシンの前を独り占めできる日はトイレに行く時間もおしく、こんなに楽しいのに給料もらっていいのかと思う程です。勤務終了の時間が近くなると(もう終わりかー)って思う位です。まだまだアートもうまく描けず、忙しい時間になると即チェンジされる私ですが、お客さんに名前を聞かれたり、笑顔でコーヒーを受け取ってくれる姿を見ると本当に嬉しくなります。コーヒーを作ることが楽しくて楽しくて、ここへ戻ってきて良かったなーとしみじみ思います。こんなに何かに夢中になれたのは今までで初めてかもしれません。
+新しい景色
何より、一杯のコーヒーは人を幸せにできる。どんな事が日常あろうとも、綺麗なアートのコーヒーにうっとりしている時や、コーヒーを美味しいって感じている時って他のことは何も考えないと思うんです。そういう時間って人にとってとても大切だと感じます。それが私のコーヒー作りのきっかけです。そういう時間を提供できるって素敵だし、それが目的なら頑張れる。レジュメ配りを始めたあの時とは違い、今はぶれない気持ちがあります。これからの目標は自分のコーヒー、一杯一杯の質を上げ、一人でも多くの人に喜んでもらえるようになること。コーヒーだけでなくその時間を楽しんでもらえるように笑顔や接客、自分に出来る事を精一杯やっていきたいと思います。
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店舗情報
Cafe:Slave 2 the Bean
Address:89 Koornang Road , Carnegie ,Melbourne ,VIC
Business hours:7:30-17:00
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□スクールご案内
本スクールは、カフェの聖地と呼ばれるここメルボルンを中心にオーストラリアでバリスタとして働くことを目標としています。
バリスタ未経験の方はもちろん、現地のバリスタスクールを卒業後も仕事が見つかっていない方、日本では経験があるがオーストラリアのスタイルを知らない方などにレッスンをしています。
興味がある方は、+nobu ページにメッセージをお願い致します。
https://www.facebook.com/plus.nobu
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