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折り紙作家 萩原 元さん インタビュー

開催中の個展に寄せる思いを聞きました

2月28日までメルボルン日本国総領事館にて開催されている個展『GEN HAGIWARA ORIGAMI EXHIBITION 2011』が好評の萩原さん。以前のインタビューから約2年。その後の活動や今回の個展への思い、現在の心境などを聞きました。

インタビュアー:大喜多 良美

 

  

【プロフィール】
萩原 元さん Mr Gen Hagiwara
メルボルンには高校留学から滞在中。現在大学でインダストリアル・デザイン(※)を修学中。折り紙同好会Papercraneにも所属。オーストラリアやニューヨークなどでのコンベンションへ積極的に作品を出展しており、数年前より自身の作品の折り図の制作も手掛けている。こだわりは『切り込みを入れることなく、1枚の正方形から制作すること。作品に個性を持たせること』。

※インダストリアル・デザイン
工業製品で、使いやすさと美しさを目的とするデザイン。工業デザイン。

 

--今回の個展を開くきっかけは何ですか?

 きっかけは、GO豪メルボルンの長谷川さんに紹介していただきました。領事館の方に紹介していただいたときは、すでにその年の展示会のスケジュールが決まっていたので、2011年の1月21日から開催することになりました。

 

--展示会にあたって新たな作品を創られたのですか?

 新作は「ウサギ」で、今年は兎年なので創りました。これは2011年1月1日に完成しました。それまでは少しスランプで、途中まではできていたのですが、そこからなかなか進みませんでした。数か月寝かしておいていたところ、12月31日にふっとアイデアが降りてきて、元旦に出来上がりました。

 そのほか、動物を中心に全12作品を置いています。また最近力を入れている折り図の展示もしています。

 

(写真左)「待ち合わせ場所へ来るまでに折ってきました」と披露していただいた新作のウサギ
(写真右)折り紙はいつもケースに入れて持ち歩いているとのこと。折り紙は日本で大量買いして持ってくるそうです。

--その中でも特に苦労したものなどはありますか?

 そうですね、苦労したのは全部なのですが(笑)、気に入っているのは「ゴリラ」ですね。表情やポージングに特にこだわりました。また「ラブラドール・レトリバー」も表情付けにこだわったので、そのあたりを見ていただければ嬉しいですね。

 作品制作にあたっては、いつも表情付けにいつも頑張っています。ただ形を作るだけでは“剥製”になってしまうので、“生きているもの”を折りたいですね。動きを加えたり、表情を加えたりした作品を創りたいですね。

  

--展示会ができることになっていかがでしたか?

 自分の作品展を開くのは長年の夢だったので、とても嬉しいです。

 

--来場者の反応はいかがですか?

 会場にゲストブックを置いているのですが、コメントを書いてくれる方がたくさんいて、「感動しました。」とか書いてくれる人が多いですし、また高校の先生にも来ていただいて「よくやっているね!」など書いていただいて、とても嬉しかったですね。

 

--今も毎日折っているのですか?

 そうですね、今は大学が休みなので、一日に最低2、3時間は紙をいじっていますね。折り紙を折る時は、いつも時間を忘れてしまいます。
また、数年前より自分の作品の折り図を描くことを始めたのですが、今年に入って「ウサギ」の折り図を制作し始めました。この前もお昼頃から始めたのですが、気づいたら朝の5時でしたね。

 折り図は今まで5作品ほどあるのですが、何かしらの本に寄稿していて、今回の作品展にも展示しています。

 

--大学に入って、折り紙を折ることに変化はありましたか?

 動物を折るというテーマに変化はないのですが、インダストリアル・デザインを学ぶにあたって、デザインなのでアイデアをたくさん出すスキル身につけられたことで、折り方のアイデアは以前より出るようになりましたね。

 

--今後、折ってみたいものはありますか?

 動物なら何でも折ってみたいのですが、以前からずっと折ってみたいなと思っているのが「コアラ」です。オーストラリアに来る前から「コアラ」を折ろうと思っていて、今も挑戦しているのですが、なかなかですね。「子持ちコアラ」も折りたいですが、まずは一体を完成させたいですね。

 
もともと「カンガルー」もオーストラリアへ来る前から折りたくて、一体のカンガルーが先に完成して、それから約1年で「子持ちカンガルー」を完成させました。
 

--「カモノハシ」はいかがですか?

 実物は特徴的な形をしているのですが、折り紙で折ると個性を出すのが難しいですね。一度折ってみたことがあるのですが、カモノハシなのか何なのかよくわからなくなってしまい、いまいちだったので今も練り直し中です。

 

--動物以外に挑戦したいものはありますか?

 動物を折ることは本当に好きなのですが、オブジェのようなものを以前折って楽しかったので、またやってみたいなと思います。

 

--折り紙をやってて良かったなぁと思うことはありますか?

 折り紙を通して多くの人との出会いがあるので、友達がたくさんできましたね。
 

--電車などの待ち時間に折っていると人が集まってくるそうですが?

 そうですね、今でもよくあります。以前フッティのグランド・ファイナル前にジーロング・キャッツのファンから「ネコを折ってくれ!」と言われて、ちょうど表裏が白と青の紙があったので、折ってあげましたね。

  

--改めて、今の夢は何ですか?

 デザイナーになることですね。少し迷っているのですが、折り紙を仕事にするとグラフィック・デザイナーになるのですが、今勉強しているインダストリアル・デザインも面白いので、どちらもできればいいですね。あとは、自分の作品集や折り図集は是非出したいですね。

 

--萩原さんにとって『折り紙』とは何ですか?

 ライフワークです。折り紙をしていないと、逆に死んでいるようですね(笑)。折り紙を折っているときは幸せです。

 

--「今日が人生最後の日」と言われたら何を折りますか?

 そうですね…、たぶんコレと決めずにただひたすら紙をいじっていると思います。とにかく紙をひっぱり出してきて、何も考えず折り始めると思います。

 

--最後に、展示会の来場者の方へメッセージをお願いします。

 「折り紙」というと、鶴や兜を連想する方が多いと思うのですが、もっと奥深い折り紙の世界があるということを知っていただければと思います。また僕の作品を見て、折り紙を始めてくれる人がいれば幸いですね。


Gen Hagiwara
URL: http://www.flickr.com/photos/gen_hagiwara/5376773316/

Exhibition by Gen Hagiwara -Origami Creator-
開催日:2011年1月21日-2月28日
場所:メルボルン日本国総領事館
住所:Level 8, 570 Bourke Street, Melbourne VIC 3000
時間:月-金 9:00am-1:00pm、2:00pm-5:00pm

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 作品展へ足を運ばせていただきました。思ったよりサイズが大きな作品で、またそれぞれの表情や個性がとても生きています。ゾウの鼻先やウサギの目一つに萩原さんのこだわりが溢れています。これが本当に1枚の紙からできているとは信じられない感じです。ぜひ足をお運びください。

 写真も大好きだそうで、Flickrのサイトの写真はすべてご自身で撮影されています。とてもクオリティの高い写真ばかりですので、こちらもぜひご覧になってください。

[ 15/Feb/2011 ]

コメント

以前のコメント

しゃめ   (2011-02-18)
しゅごーーーーーーーーい!! 領事館行きます!!
^M^   (2011-02-16)
折り紙ってなんか和みますね。

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