インタビューinterview

グルメgourmet

セレブリティ・シェフ Tobie Puttock氏 インタビュー(前編)

TVでもお馴染み、あの人気シェフが語る料理への想い

2011年4月6日掲載

“The Kitchen Cat”のオーナー兼ヘッドシェフでもあるTobie Puttockさんへのインタビューが実現。セレブリティシェフとして多忙を極める中、今回時間を作っていただきたっぷりと彼の話を伺った。前編では、彼の料理への想い、FifteenからThe Kitchen Catへの経緯、Jamie Oliver氏との関わりについて聞いてみた。
 


【プロフィール】
Tobie Puttock
The Kitchen Catのオーナー・シェフ。メルボルン生まれ。世界中でシェフとしてのキャリアを積んだ後、2002年旧友のJamie Oliver氏と共にロンドンにてFifteenレストランを立ち上げ、エグゼクティブ・ヘッドシェフとして参加。2006年メルボルンへ戻りFifteen Melbourneを設立。現在は同店よりリニューアルしたThe Kitchen Catにて腕を振るいつつ、TV出演や料理本の出版もこなす人気セレブリティ・シェフ。

インタビュアー:髙阪 竜馬、兼重 貴子



-始めに一般的な質問になりますが、なぜシェフになろうと思ったのですか?

シェフになったのは実は“アクシデント”のようなものなんだ。以前はプロのスノーボーダーになりたくて、そのお金を稼ぐために料理を始めたんだけれど、6年間それを続けイタリアに2年ぐらい住んだ後、料理がとても好きだいうことに気づき、この道に進むことに決めたんだ。
 

-では、シェフをしていて、やりがいのある瞬間とはどんなときですか?

レストランが混んでいるときにスタッフ皆がいい仕事をして、お客さんが美味しそうに料理を食べている笑顔を見たときかな。もう19年間もシェフをしているからね。忙しい時のプレッシャーには慣れているよ。


-さすが、忙しいプレッシャーの中でやりがいを感じるとはすごいです。長くシェフをされている中で、ご自身の料理に対する哲学/ポリシーのようなものはありますか?

できるだけ新鮮な材料を揃えるようにし、それが引き立つシンプルな調理法をすることだね。質の悪い肉を取り寄せごちゃごちゃしたソースをかけるより、上質のものを使いシンプルだけどグリルで素材の味を生かす料理法を心がけているよ。だからオリーブオイルの質も僕の料理にはとても重要な意味を持つんだ。オリーブオイルのフレーバーは、料理の質をあげてくれる助けになるからね。

 

-Tobieさんの料理は見た目も素敵なんですが、料理のプレゼンテーションにはどのように気を使っていらっしゃいますか?

そう?ありがとう。ただ僕の料理のプレゼンテーションはとってもシンプルだと自分では思うよ。そうだな、なるべく元々の素材の形を変えないように、そしてそれを惹き立たせるようにしているかな。僕のレストランの料理のほとんどは、イタリアに既にある料理ばかりだからね。そこまでシリアスに考え過ぎないようにしているよ。

  

-では、次に以前のレストラン“Fifteen”について伺いたいと思います。

-Fifteenは料理を通して若者が社会の一員になる手助けをするというユニークなコンセプトを持ったレストランですよね。そこで働いたことはTobieさんにどんな影響を与えましたか?

“Fifteen”がロンドンでオープンしたとき、僕はオープニングのヘッドシェフだった。僕がそこで学んだことは、“料理は作ることだけでなく、料理を通して他のこともできるということ”だったよ。今新しく自分のレストラン“The Kitchen Cat”をオープンし、自分のチャリティーも始めたけど、それは“Fifteen”が僕に与えてくれた料理を通して若者の社会復帰を助けるというインスピレーションのおかげだね。

 

-では、Fifteen設立者Jamie Oliver氏との出会いについて聞かせてもらってもいいですか? 彼との出会いはTobieさんの人生を変えましたか?

僕とJamieは90年代後半にロンドンのRiver Cafeという有名なレストランで一緒に働いたんだ。その後彼がそのレストランを辞め、Fifteenを始めるために僕に声をかけてきた。Fifteenは僕の人生を大きく変えたよ。だからJamieとの出会いは、僕の人生を変えたと言ってもいいかもしれない。彼は今でもいい友達の一人なんだ。僕は彼の娘の名付け親だしね。家族みたいな関係とも言えるかな。


-家族のような関係とは、とても素敵ですね。では、Tobieさんの新しいレストラン“The Kitchen Cat”についてお伺いしたいと思います。

 

-まずはFifteenからThe Kitchen Catにレストランを再オープンした理由をお聞きしてもいいでしょうか?

もちろんだよ。僕はFifteenで計8年働き、今まで経験したこともなかったチャリティーディレクターにまでなった。そこでの経験は僕にとって本当に素晴らしいものだった。でもオーストラリアに帰国して4年たち、おそらくもうロンドンに戻ることはないと思ったんだ。ここでFrank Camorraなど多くのいいレストランを持つシェフとの出会いによって、メルボルンに焦点をあてたチャリティーをしたいと思うようになった。そのときロンドンとの関係をどうするか皆で話し合った結果、ここで独立したチャリティーを作ろうと決めたんだ。助けの必要な若者を料理を通して社会の一員にするというコンセプトは変わらないけれど、一つのレストランでそれをするのではなく、FrankのMoVidaなど幾つかのメルボルンにあるレストランが協力しあって、それを行うことにしたんだ。これらはメルボルンの社会問題の解決に貢献していくと信じているよ。


-メルボルン貢献のための素晴らしいアイデアですね。ここで、“The Kitchen Cat”という名前の由来を聞いてもいいですか? Tobieさんはもしかして猫好きとか?

確かに猫は好きだけど(笑)、変わった名前だよね。でも“The Kitchen Dog”だとどこかしっくりこない。この名前に決めた理由を考えたとき、これといったハッキリした理由は見つけにくいな。僕達はこのレストランをどう呼ぼうか散々考えたんだ。あまり難しい名前は避けたかったし、いかにもなイタリア名も避けたかった。僕らはオーストラリアに住んでいて英語を話す。だから英語名にはしたいと思った。僕はイギリスのカジュアルなパブの名前が好きだった。そこで“Black Cat Kitchen”や“Fish on a bicycle”などの色々なアイデアが出たんだけど、最終的に“The Kitchen Cat”が一番落ち着くということになったんだ。

 

 



レストラン名の由来の話をしているとき、Tobieさんから日本語で‘Cat’は何て言うのかを質問され、そこから簡単な日本語教室が始まった。とても気さくなTobieさん。そんな彼は自分のレストランについてこうも語ってくれた。「忙しい日を過ごし、今日は家に帰って夕食を作りたくないなと思っている日が誰にでもあると思うんだ。そんな時に気軽に立ち寄れ、たくさんのお金を使わず素敵な時間を過ごす。そういうレストランでありたいんだ」とても印象的な言葉であった。

インタビュー後編ではTobieさん自身についてもう少し突っ込んでみたい。お楽しみに。

 



The Kitchen Cat
http://www.thekitchencat.com.au/
住所:Basement 115-117 Collins St, Melbourne VIC 3000
電話:1300 799 415 (ウェブ上でも予約可)
営業時間:12pm−3pm / 6pm−10pm
日曜定休

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写真/文 兼重 貴子

 (Written and photographed by Takako Drew)

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