インタビューinterview

グルメgourmet

「酒サムライ」 入江 啓祐氏 来豪インタビュー

酒からSAKEへ。世界が酔いしれる国際交流

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[ 17 / Feb / 2012 ]

【入江氏の会社、コーポ・サチ】
 日本酒文化を世界に広めることで観光繁栄まで繋がるような地域活性を目指し、販売促進事業・コンサルタント業務・公演活動を行っている。日本酒レクチャーや「酒サムライ」のコーディネーターなど日本酒を通した事業は多岐にわたる。

 

--まず、「酒サムライ」とは何ですか?

 日本酒メーカーの全国1300社の業界団体の中で、45歳以下の経営者だけで構成される下部組織があるのですが、その中で日本酒を世界に広める活動をされている方を「酒サムライ」として叙任させていただき、活動していただくことで日本酒を更にPRしていただける、という趣旨のもと、この制度を作りました。

 同時に“インターナショナル・ワイン・チャレンジ”というロンドンのワイン・コンペティションに対し、ニュートラルに海外の方のテイスティングにおいて基準となる大会に6年前からsake部門が設けられ、酒サムライ事務局として協力的かつ積極的に出品を増やしていくことを業界団体としてやっていこうとしているのが「酒サムライ」の主な活動です。

 コンペティションにおいて、ブドウを使った醸造酒以外では、唯一「日本酒」だけが独立したカテゴリーを持っており、ワイン同様ブラインド・テイスティングを行い、同様の評価を受けます。

--酒の認知度は世界的に広がっていると思われますか?

 日本食はすでに世界中に定着し、寿司・天ぷらだけでなくユズやワサビを使用したフレンチやフュージョン料理なども出てきています。日本の食材にもっとも合った飲み物としての「酒」として認知が上がってきていますし、たとえばフレンチレストランでも他のワインリストの中に1、2銘柄の酒が入っているというのも増えてきていますね。

--今回の酒イベントの詳細を教えていただけますか?

 メルボルン日本総領事館主催で、オーストラリアで活躍しているレストラン経営者やソムリエで日本酒になじみのない方を対象に、きちんと日本酒の味を体験していただくために開催。

 今回は8つの異なるメーカー/地域のお酒をご用意しており、産地・味・熟成具合の違いを感じていただこうと考えています。単に美味しいか美味しくないかではなく、それぞれの酒のインフォメーションをレクチャーしながらテイスティングをします。

--さまざまな国を訪れられていると思いますが、オーストラリアでの酒の普及は他国と比べるといかがですか?

 輸出量で言うと、2004年に比べると2.5倍に増えています。

 メルボルンはとても‘料理’に対する感度が高い街だと思いますね。ニューヨークやパリなど世界中に食の街はありますが、メルボルンは食に対してコンサバティブではなく、受け入れながらもかなりハイレベルな日本食が食べられる街という印象が強いと思います。

 そういう街だと、本物を受け入れる土壌ができているので、とても可能性がある街だと思います。

--そうすると今回のイベントでさらに期待が高まりますね?

 ほとんど日本人の方が参加されないレクチャーを開催する機会は私にとっても珍しいことですね。ある程度日本のことを知っている方が1/3から半分ほど参加されることが多いのですが、こういった形であまり日本のことを知らない方でワインの知識がある方に日本酒のことを伝える機会があるのは、本当にありがたいことです。

    

--東北にも多くの酒蔵があると思いますが、東日本大震災以来の影響はいかがですか?

 本当にわずかな例外を除いて、被災を受けた地区でもほとんどの酒蔵で新しい酒造りが復活しています。たとえ場所を移動せざるを得なくなったとしても、多くの方のサポートがあって復活しています。それぞれの蔵で10万本割れてしまったこと、工場の建物が壊れたり、不幸にして蔵人が亡くなられたところもありますが、その土地で何百年続いた長い歴史を持っていて、その土地の顔でもありその土地の味を守り継ごうという意思が働いて、今年の酒が出来上がりつつあります。お酒は復興のシンボルとしての役目も果たしているようで、そのパワーというのはすごいなと思います。

--今回の8種類のお酒について教えていただけますか? ほとんどが東北からのお酒ですが、今回のお酒のセレクションのコンセプトを教えてください。

 同じ東北でも海沿いで造られているのか山の中なのか、日本海側のものと太平洋側のもの、同じ宮城県のお酒を比べてみたりします。食事との相性も、山の中のお酒はやはり山で採れる食材に合うでしょうし、海に近いところで作られるお酒はシーフードに合うと思います。つまり、その土地で食べられている料理に合うものがその土地のお酒に合うと思いますね。そういった性格の違いを感じていただこうと思い、今回のお酒をセレクトしました。

--今後の活動を教えていただけますか?

 今後もお酒のプロモーションは続けて行きます。また、ロンドンのワインチャレンジの審査は今年5月に初めて日本で開催されます。これは残念ながらイギリスへの輸出がなかなかできなくなってきているためですが、多くの外国人審査員が日本に来て審査をしますので、ますます盛り上がると思います。酒サムライのウェブサイトに審査結果が公表されます。ぜひご覧になってください。

 

 

▲「酒サムライ」公式ウェブサイト
http://www.sakesamurai.jp/

▲コーポ・サチ
http://coopsachi.jp/

コメント

以前のコメント

高橋 利治   (2017-01-13)
元気そうですね!福岡に来た時は一報を!!

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