インタビューinterview

グルメgourmet

MAEDAYA-前田屋 前田 幸俊 店長インタビュー

酒マスターの大吟醸、一級品トーク

2008年8月16日掲載

 
 
 

【プロフィール】
前田 幸俊 Yukitoshi Maeda
兵庫県神戸市出身。1996年から1年間オーストラリアに語学留学。オーストラリアに魅せられ、オーストラリアに住むことを決意。20代半ばに日本酒の魅力に惹かれて以来ワイン、ビールと様々なお酒を楽しむようになる。オーストラリアでの日本のお酒の認知度が低いことに歯痒さを感じ、オーストラリアで日本のお酒を楽しんでもらいたいと奮起し、その普及に努める。

【MAEDAYA-前田屋】
日本のお酒をオーストラリアで広めることを目的にオープンした、焼き鳥と焼肉のお店。Cityからトラムの48番あるいは75番で約15分ほどのリッチモンド(Richmond)にお店はあります。お店では約60種類のお酒を常備しています。お酒の好みを伝えるとSAKE MASTERである店長がおすすめのお酒を紹介してくれますよ。メルボルンで日本のお酒を堪能するなら前田屋さんへ。


インタビュアー:長谷川 潤、大喜多 良美

 

--『SAKE JAPAN』とはどういったインターネット・サイトですか?

オーストラリアで初めてインターネットによる日本のお酒を販売しているサイトです。日本の地酒だけでなく地ビール、焼酎など約60種類を取り揃えています。オーストラリア国内であれば、いつでも購入していただくことができます。ただしクレジットカードでの購入のみの対応となっています。
今までは日本食レストランでお酒を飲むことはできるが、どこで買えばいいのか分からないということが多かったように思います。そこで、オーストラリアの人々に日本のお酒を気軽に購入して、楽しんでいただくためにサイトをオープンしました。


--日本のお酒をオーストラリアで広めたい、販売したいと思われたのはなぜですか?

自分自身もお酒が大好きで、もちろんビールやオーストラリア・ワインも好きです。日本のお酒には様々な種類がありますし、味も違えば、それぞれのお酒の個性もまったく違いますよね。それはオーストラリアのワインにも共通することだと思います。
近年のオーストラリアでの日本食の認知度が非常に高いこと、また日本食を食べる機会が増えたこともあり、日本のお酒と一緒に日本食を食べたいというリクエストも増えました。しかしオーストラリアでは日本のお酒があまり流通していない事情もあり、一般的な18リットルの大衆酒を熱燗で飲むことしか知らない人が多い現状に、もどかしさを感じました。
日本食の認知度は高いのに、日本のお酒のことを知らない人が多いので、お酒にはこんなにいろんな種類があり、また飲み方も熱燗だけではないこと、日本食との食べあわせの面白さや、酒器の美しさも楽しみのひとつであることを紹介したいと思いました。
居酒屋MAEDAYAを通して日本のお酒を紹介することだけでなく、インターネットで気軽に購入して楽しんでいただけたらと思っています。


--MAEDAYAさんに来店されるオーストラリアの人々に、どのように日本のお酒を紹介されていますか?

初心者の方の中には「熱燗は飲んだことがあるが、よく分からなかったので、何かアドバイスが欲しい。」とおっしゃる方も多いですね。まずはサラッとして飲みやすく、香りがフルーティなものを冷酒で飲むことを紹介しています。ワインに近づいた感覚で飲んでいただけるかと思います。
一方で日本のお酒に慣れ親しんだ方には、飲んだことがない銘柄を紹介したり、またその〝冷”と〝燗”の違いを楽しんでいただいています。また日本食との食べあわせの提案もしています。日本のお酒のことをもう一歩深く、でも気軽に知っていただけたらと思います。


--お客様の反応はどうですか?

ほとんどの人が驚かれますね。オーストラリアの方は、本格的に日本のお酒を飲んだことがなく、偏見もあったようです。「前回飲んだお酒は甘くて美味しかったけど、今回はドライなお酒を試してみたい。」と何度も足を運んでくださる方も増えました。
気軽に日本のお酒を楽しんでいただくために、MAEDAYAではお酒のテイスティングセットも用意しています。また日本酒約40種類、焼酎約15種類、常時約60種類取り揃えています。『SAKE JAPAN』の商品とほぼ同じ種類を置いていますが、オンラインでは販売していないお酒も一部置いています。


--オーストラリア人と日本人のお酒の好みの違いはありますか?

日本人の方は、主に焼酎を飲まれる方が多いですね。やはりお酒のことを知っている方が多いですし、焼酎は低カロリーで次の日にあまり残らないですからね。オーストラリア人の方は日本酒を好まれるようです。「味が繊細で、エレガントだ。」という印象を持たれる方が多いです。また、温めて飲めるお酒が珍しいようで、熱燗をオーダーする方が多いです。


--では『SAKE JAPAN』のサイトでお酒を購入し、自宅で楽しむにはどうすればよいですか?

冷酒や室内温度で飲むことをおすすめします。簡単なおつまみがあれば更に良いですね。自分自身のいまのお気に入りは、クリームチーズにワサビ醤油をかけて、日本酒と一緒に飲んでいます。クリームチーズが意外にも日本酒との相性が良くておすすめです。また簡単なものとしては、ニンニクを素揚げして、中身に塩をかけたものと一緒に飲むのも美味しいですよ。
『SAKE JAPAN』のサイトの中で、「酒マッチング(Sake Matching)」というコーナーで、お酒に合うおつまみ、料理等を月1回3品紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。スーパーで購入できる身近なもので簡単に作ることができるので、是非一度試してみてください。

  

--『SAKE JAPAN』やMAEDAYAを通しての今後の目標や夢は何ですか?

やはり日本のお酒がオーストラリアの人々にワインの一種として認知され、また広く気軽に飲んでもらうことが目標、夢ですね。現在日本では日本酒の販売市場は狭くなってき、いくつもの小さな酒蔵さんが閉業を余儀なくされる事実があります。日本酒とは数百年という歴史の中で培われてきた日本独自の伝統的酒造技術を駆使して、杜氏さんが手間暇かけて醸し出す一種のアートだと思います。それらの作品をオーストラリアという新しいマーケット、新たな人々に歓迎され、認知される舞台に紹介することで日本酒が再評価を受け、もっとたくさんの人々に純粋に楽しんで頂ければ本望です。それがオーストラリアに住む酒マスターとしての自分の役割だと考えています。


--SAKEマスターでもある前田さんの今おすすめのお酒は何ですか?

秋田県の秋田銘譲、爛漫さんの「生?特譲」はおすすめです。甘口で、コクがありとても美味しいお酒です。爛漫さんのお酒はMAEDAYAには全部で4種類ほど置いています。他には北海道小樽市の北の誉酒造さんの「北の譽純米吟心」もお勧めですよ。キレの良い辛口ですが、コクもあり値段もリーズナブルです。8月に『SAKE JAPAN』のサイトの中で紹介しようと考えています。MAEDAYAでも〝Sake of the month”として来月販売する予定です。毎月1つのお酒を特集し、普段は4合売りしているものを、グラスでも販売します。気軽にテイスティングを楽しんでいただけると思います。

   

--MAEDAYAさんのお店のインテリア・デザインはとてもユニークですね?

〝シンプルに日本らしく”をコンセプトにデザインしています。デザイナーのEid Goh氏はシドニーの大会において、この作品でレストラン部門のベストデザイン賞を受賞しました。


--ユーザーさんへのメッセージをお願いします。

日本では気づかなかった、出会えなかった素敵なお酒に祖国から遠く離れたメルボルンで出会うことができるのは面白い事だと思います。MAEDAYAでは各地の地酒がグラス1杯からお楽しみ頂ける事ができるので、気軽に来ていただけると嬉しいですね。またランチのみで、関西風お好み焼きも用意しています。是非そちらも召し上がってもらいたいですね。
また『SAKE JAPAN』のサイトも是非活用してください。ブログも書いていますので、是非読んでください。
 

MAEDAYA-前田屋 / SAKE JAPAN

URL:http://www.sakejapan.com.au
住所:400 Bridge Road, Richmond, VIC 3121
TEL:(03) 9428 3918
営業時間:月ー土(日曜日は定休日)
       ディナー(1F/2F) PM6:00-PM11:00
※ディナータイムは1Fでは〝炭火焼き鳥”、2Fでは〝炭火焼肉”をご用意しています。

※ご予約でのお席の確保は5名様以上のお客様に限ります。

(2011年2月21日更新)

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