インタビューinterview

LEAP MELBOURNEleap

LEAP MELBOURNE -Yoko Sakamoto-

自分にしかできない表現をしたい

2012年8月31日掲載

 

これからメルボルンへ来る若者・学生達へ、

 

一足早くその地で頑張っている皆からの熱いメッセージ。

このシリーズは、さまざまな目的や目標を持って学び・仕事に取り組んでいる人たちの経験談を広めることで、読者の方々の刺激や発見になればという思いから始まった。

「Leap Melbourne」

 

このタイトルには、メルボルンで過ごす時間をさらなる跳躍につなげてほしいという気持ちが込められている。

Yoko Sakamoto
デザイン専門学校でグラフィックデザインを2年間学んだ後、制作会社で広告やカタログ制作など幅広い業務に携わる。3年後にフリーランス・デザイナーとして独立。2010年5月メルボルンに渡り、RMITグラフィック・デザイン学科(Graduate Diploma in Graphic Design)へ入学

Website: ichinen99.com

 

表現への意識が高まりました

 「和」を取り入れたデザインを自分のスタイルとして意識しはじめたのは、専門学校で卒業制作に取り組んでいた頃でした。でも思い返してみると、祖母がお茶の先生だったので季節の行事や食事のことをよく話しくれたり、家族とお寺参をしたり、母が着物が好きだったりと「和」なものに囲まれて育ち、「和」のデザインには馴染みが深かったのだと思います。

 メルボルンではいろいろな国や文化を背景として持つ人が混在しているので、私の「日本人としてのアイデンティティ」をどう表現するかをより深く考えるようになったと思います。クラスメイトもブラジル系、イタリア系とさまざま。それぞれのバックグラウンドを上手く使っていろいろな表現を出してきます。私も自分の経験や文化的背景をもとに「自分にしかできない表現」を強く出していけるようになったと感じています。
 

デザインが自分を広げてくれる

 私がアーティストではなくクライアントのために仕事をする「クリエイター」でありたいと思うのは、コミュニケーションが好きだからです。制作の楽しみの半分はお客さんとのやり取り。お客さんのキーワードから期待を汲み取り、求められているものを作っていくプロセスには、自分が作りたいものを作るのとは違う面白さがあります。

 また、そのお客さんと仕事をしたからこそ知ることができた業界、世界もたくさんあります。例えば車のエンジンについて詳しい知識はないままエンジン関係の取扱説明書の制作を請け負ったこともありました。そんな風に、デザインの仕事はクライアントとマーケットがあるからこそ「広がっていく」もの。いろいろなクライアントやマーケットにふれあうことで自分の見方やコミュニケーションの仕方も広がります。
 

5年、10年と続けていく力

 2013年に日本に帰国しますが、その後2~3年は制作会社に勤めてしっかり下積みをしたいです。25~30歳というのは基礎を作る時期ですが、私はその時期を留学という夢の実現に充てました。だから30~35歳という次の5年でしっかりと基礎を作っていきたい。3年下積み、2年挑戦。そしてその後5年、10年と続けていける力を身に着けたいです。

 いちばん興味があるのはテキスタイル(布・織物)の分野です。日本の布文化ってとても美しいと思います。次の就職先を探すときにも日本の布をはじめとする伝統的な文化を国内や海外に発信している企業を見つけたい。そしていつか反物や浴衣のデザインを手がけることができればと思っています。

 

Interview & Photography by Ryo
studiomonsoon.com
ryo@studiomonsoon.com

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