Logo for melko

ワトゥルの風ー臨時号ー

ワトゥルの風
学校長 美谷添久男
「生き方に学ぶ

10月5日、徳島県の「鈴の会」で三味線師範を務められていた、三木晶江さんをお招きしました。三木さんは、徳島にある歯科医院を閉め、今春に息子さん家族とともに、メルボルンへ移住をされました。
さて今回は、4丁の三味線を持参され、児童生徒全員に、三味線の奏でる格調のある音色を体験させていただきました。指導されている姿を拝見していると、本当に三味線が好きなのだという印象を強く感じました。初めて三味線と出会ったのは、医学生になったころだと話されましたが、そのころは、あまり興味や関心がなく、何度もやめたいと考えていたこともあったそうです。それでもやり続けるうちに、力強くも優しくもある、三味線の魅力ある音色にはまり、努力を重ねられました。今では、三味線を弾くことが生活の一部となり、自分の人生を豊にするとともに、心に潤いを与えてくれる大切なパートナーであること、三味線を通して日本中にたくさんの友達が広がっていることを話されました。
最後に、三木さんの大切にしている三つのことを、児童生徒に教えてくださいました。
1つは、得意なことを一つでも見つけること
2つは、得意なことを一所懸命がんばること
3つは、得意なことを最後までやり続けること
このことは、絵を描くことが好きであったり、習字であったり、読書であったり、野球やテニスなどのスポーツであったりと、子どもたちの置かれている環境の中にはたくさんあります。なにか一つは得意なことをみつけ、いつまでも挑戦し続けてほしいものです。


 また、10月19日には、アボリジニアートディレクターの内田真弓さんから講話をいただきました。この国に来て20年余を過ごされておられますが、その経歴にも驚かされましたが、アボリジニの方たちとの交わり方にも学ぶことばかりでした。
内田さんは、日本の航空会社でFlight Attendantを6年務めたあと渡豪し、日本語教師としてオーストラリアで1年間の勤務を終えられました。そして帰国直前に、雨宿りしたギャラリーで偶然に観たアボリジニアートとの出会いが、今の仕事に繋がってきているということです。そして、現在は、アボリジニの方たちの描いたアートを日本や世界各地において紹介するなどの活動を続けられておられます。ここまでの道程は決して平坦ではなかったようですが、アボリジニの方たちの信頼を得て、今では毎年4ヶ月程、現地で滞在生活をしておられるようです。
その内田さんが子どもたちの未来に向けて、思いを込めて話されたのは、
○未来は予想するものでなく、創っていくもの
そのためには、
・「できるか、できないかではなく、本気で取り組んでいくことこそ、未来の自分を創っていくことにつながるので、いつも挑戦する心を失わないようにがんばってください」メッセージをいただきました。

さらに12月3日には、日本人学校役員の 團  雅 義 さん(丸紅オーストラリア)を講師に、中学生を対象とした進路講演会を実施しました。タイのバンコク、そしてメルボルンでの海外勤務経験を通して考えられたこと、人々の出会いなどを、丁寧な語り口でご講演いただきました。『総合商社と日本』『総合商社を通じて考える日本の在り方』『日本の生徒・学生に身に付けてほしいこと』という3つのテーマについてお話をされました。「日本の食料自給率」「オーストラリアの人口」「オーストラリアの鉄鉱石、石炭の産地」など質問されましたが、そのことと総合商社でのお仕事との密接なつながりを説明されました。このような日本とオーストラリアとの関係を示すデータを聞かせていただくことで、生徒は改めて日本とオーストラリア両国の深いつながりを再認識したようです。また、その背景にある『日本の高度経済成長』『バブル期と総合商社冬の時代』『資源ブームと総合商社』といった日本経済の歩んできた歴史、そして仕組みについてもお話しいただき、社会科で学習する地理、歴史、経済など、中学校で学んでいる内容がいかに実社会でも必要とされているものなのかを、生徒自身も実感したのではないでしょうか。最後に『日本の生徒・学生に身に付けてほしいこと』として、
○自国のことをしっかり学び、そしてしっかりと語ることが大切である
・日本人としての日本の文化や歴史、そして受け継いできた言語をしっかり学び、そしてそれを多くの人々と語り合うことの必要性を具体例と共に述べられました。生徒からも『総合商社冬の時代と言われた苦しい時期を、どのように乗り切ってこられましたか』と質問が出るなど、有意義な講演会となりました。
今年度、三人の方々をお招きし、「生き方教室」並びに「進路講演会」を開催させていただきました。講師の方々のこれまでの歩みはみな違っていても、自らの貴重な体験を通して話されたことは、子どもたちが、これからの国際社会の中で生きていく糧として学んでくれたことと思っております。
講師の皆様には大変ご多用の中をメル校生のためにご協力をいただきましたこと心より感謝を申し上げます。

関連記事

最新記事

カレンダー

<  2024-04  >
  01 02 03 04 05 06
07 08 09 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

プロフィール

メルボルン日本人学校のコラム

記事一覧

マイカテゴリー