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新シリーズ!キリン搾りたてトーク#1 四川飯店三代目 陳 建太郎シェフ登場

薫りサイダー発売記念プレゼントあり

[ 30/Oct/2013 ]

 10月23日から25日にかけてRACVシティクラブ会員向けにイベントを開催された陳建太郎シェフ。今回のイベントのことや、仕事に対する考え方など、仕込みの合間の貴重な時間にインタビューをさせていただきました。

 

陳 建太郎 Kentaro Chen

1979年、東京都出身。2002年赤坂四川飯店に入社し、「szechwan restaurant陳」にて修行を開始。2005年から2年半に渡り四川大学へ留学すると同時に、四川省成都市にある「菜根香」でも修行し総料理長・曾 国華氏に師事。帰国後は四川飯店グループで技術を学び、現在は赤坂四川飯店に勤める傍ら、料理教室やイベント、TV出演などの活動も行っている。

 

 

―今回メルボルンでイベントを開催されることになったきっかけは何ですか?

 やっぱり「ご縁」ですよね。5年前に初めてシドニーで犬飼シェフ(ブランシャル)のイベントの際に父(陳建一シェフ)の助手として来たことからですね。また次の年も次の年もということで、お客さん皆さんに喜んでいただけることで呼んでいただけるようになりました。

 僕も父も料理人なので、お客様ありきですよね。シンプルに美味しい料理を作って、良いサービスをして、お客さんに喜んでもらって「美味しかったよ。」と言ってもらえるのが純粋に好きなので、それが生き甲斐でやっています。

 海外へは『料理の鉄人』がきっかけで呼んでいただいて、僕は助手で行っています。メルボルンへは2年前に初めて来て、そこで荒金シェフや、RACVのMarkシェフや素晴らしい方に出会えて、友達がたくさんできました。僕はそれを大切にしていきたいので、その方々が努力していただいて今回も呼んでいただけました。

 

 

―オーストラリアの方々のお客様の印象はいかがですか?

 温かいですし、明るいですね。食べるのは長いですけど・・・。

 最初は正直ドキドキしました。四川料理はスパイシーで辛くて痺れることもありますよね。いつも事前に考えるのが、オーストラリアの人々がどういう味付けが好きなのかということで、人に聞いたりもしました。

 でもこうやって呼んでもらえるので、せっかくなので四川飯店の味で、僕たちの味で食べてもらおうと思っています。もちろんオーストラリアの食材も使って、それを表現できたらと思います。

 

 

 

―実際のオーストラリアのお客様の反応はいかがですか? 日本の四川飯店に海外から来てくださる方が「美味しかった!」と言ってくださることもあると思いますが?

 いや、本当に嬉しいですよ! 「Fabtastic! Fantastic!」と言っていただけて、本当に嬉しいです。

 普段からレストランで料理を作っているときもそうですし、今回のようにメルボルンで料理をお出ししてもそうですが、実際にお客様とお話しをしていて、本当に美味しかったと思って言ってくれているのは判るじゃないですか? それは言葉が通じなくてもわかりますし、そういうときはめちゃくちゃ嬉しいです! それは本当に僕たちにとって経験になりますよね。

 

―建太郎シェフが料理の世界に入ったきっかけは何でしたか?

 祖父が日本で「四川飯店」を作り、父が『料理の鉄人』という形で中華を発展させて、そういう家で育ちました。

 元々高校生ぐらいには料理人になろうとは思っていました。高校一年生のクリスマスごろから近所のイタリアン・レストランでバイトを始めました。マスターが本当に良い人で優しくて、味は抜群に美味しかったんです。バイトをしているからと言って、父を初め母や祖母、家族みんな食べに来てくれて「おいしい、おいしい!」と言ってくれたんですよ。

 その中で前菜ほかちょっとしたものを作らせてもらっているうちに「やっぱり料理っていいな!」と思い、気付いたら料理人になろうと決めていましたね。

 

―元々はお父さんの影響とかそういうことではなかったのですか?

 いや、絶対ありますよ。最終的にはそれがきっかけで中華を選んだわけですが、元々好きだったんだと思いますよ。

 


▲ (左)四川よだれ鶏、(右)四川風オージービーフ

 

―最初はイタリアンから始められたというのは驚きでしたが、最終的に四川料理を選ばれたとき心境はいかがでしたか?

 『料理の鉄人』を生で観に行ったんです。当時既に番組は終了していたのですが、ちょうど2000年に特別編として復活した際に、父と坂井シェフが対決しました。僕はそこに応援しに行っていたんですね。

 やっぱり生っていうのは凄いんです。普段からテレビで見ていて「すごいな。」と思っていて好きだったんですが、実際の迫力はすごかったですね。今考えただけでも鳥肌が立つくらいです。

 対決が終わったあとに、父と坂井さんが抱き合ったんですね。それを見て「これはカッコいい!俺は中華やる!」と思ったんです。理由なんかなかったですね。ただ純粋にカッコいいと思ったんですね。

 当時は大学生でフランス語を選考していたのですが、「中華やる!すぐにお店に入りたい!大学辞めても構わない。」と言ったのですが、「この世界に入ったら自分の好きなことは何もできないんだぞ!」と言われました。「自分でお金をためて好きなところに行きたかったら行けよ。」と言われてフランスに行ったりもしましたね。

 でも、やっぱり番組を生で見たことがきっかけですね。そのときの興奮は今でもはっきり憶えていますね。

 

―では『料理の鉄人』が毎週放映されていたころはまだ小さかったのですか?

 番組が始まったのは僕が中学校2年生のときでしたね。

 

 
▲(左)陳家レシピの蒸し魚、(右)四川飯店と言えばマーボー豆腐。お店に出せるようになるまで5、6年(!!)の修行が要るそうです。

 

―実際に父親がテレビに出演されているというのはどういう感じでしたか?

 一視聴者としては、父親ですけど「すごいな、この人たち!」と思っていました。いきなり食材を教えられて、1時間で料理を作ってすごいと思っていましたね。それよりも美味しそうで「これ食べたい!これ食べたい!」と思っていて、「おいしゅうございます。」と言うけど、「どんなふうに美味しいか教えてよ!」と楽しんで見ていましたね。

 イタリアンの山田シェフとキャベツ対決したとき父が負けたんですね。そのとき僕はまだ高校生になるかならないかぐらいだったのですが、山田シェフが作ったパスタが美味しそうだったので、「食べたい!食べたい!」と言って、下北沢にある山田シェフのレストランに家族で行きました。僕はちょっと緊張していましたが、本当に美味しかったですね。父は気にしてなかったと思いますけど、もしかしたら気にしていたかもしれませんね(笑)。

 本当にたまに他のレストランに連れて行ってもらって、「世の中こんなに美味しいものがあるんだ。」と気付かされましたね。環境に恵まれていたと思います。もし違う家に生まれていたら、今は何していたかわかりませんね。

 

―この質問はよくされると思うのですが、四川飯店の3代目としてのプレッシャーなどはありますか?

 よくある質問です(笑)。あるかないかと言ったらあるに決まっていますよね(笑)。

 僕がまだ見習いの頃に父が病気になるなど様々なきっかけがあって、自分でもなんとかしなきゃとか思っていたのですが、料理は1年2年でなんとかなるものでもないというのも分かっていたんです。でも当時は自分に実力がないし、知らないことだらけですし、焦っても仕方ないとも思っていたんですね。

 それできっかけが欲しくて、本場四川に行きたいと思いました。祖父も父も中国語が話せるし、本場四川の料理を知っていますし。何かが変わるのではないかと思い、とにかく頼んで頼んで行かせてもらいました。

 2年ちょっと行きましたが、そこで友達もできましたし、いろいろありましたが四川飯店の他のスタッフや仲間がいたからこそでしたね。1人では何もできなかったですし、四川飯店という大きな歴史というか残してもらったものがあるので、そういった物事を勉強していくうちに、継がなきゃいけないプレッシャーなども感じていました。

 そんなマイナスに考えているよりも、みんなで力を合わせていくことと、もちろん自分も実力をつけていけなきゃいけないなと思っています。また今回の仕事もそうだと思うのですが、こうやってこの年齢で呼んでもらえるのは父のおかげですし、四川飯店という環境に恵まれているからです。そういうチャンスはいただけるのであれば大切に使いたいです。

 こうしているときも日本でスタッフがやってくれているわけですし、スタッフがいなかったら出られないですからね。それを忘れずに彼らのためにも頑張って、みんなで四川飯店を大きくしていきたいです。今回こうやってチャンスをいただいて、荒金シェフにしてもそうですし、昨日今日の御縁ではないですからね。

 以前は父親が海外に出張すると聞いて、「いいな、飛行機に乗ってさー」などと思っていましたが、実際は全然違いますよね。コミュニケーションをして友達を作って、お客さんに全力でぶつからないといけないですしね。

 今回は一番信頼している井上シェフを連れてきましたが、連れて来ることによってそういったことを一番大切な人に知ってもらいたかったからです。コミュニケーションの素晴らしさを知ってもらって、同じ志を持ってもらいたいからです。

 


▲左が井上シェフ普段お二人は違う四川飯店の支店で働かれていますが、とても仲良しの同期。

 

―四川飯店はチームワークやチーム力が素晴らしいですよね。前回お伺いした時も皆さんが我々がお伺いすることを知ってくださっていて、全員出てきていただいて、とても感動しました。

 それは父のモットーですね。

 見習いの頃の父は今と全然違って無愛想で怖かったそうで、祖父は本当にすごい料理人だったのもあり、時代もそういった時代だったみたいですね。父は料理人としての祖父のすごさはあまり気にしてはいなかったそうですが、食事を食べてもらうのは好きだったそうです

 その中で自分が上に立ったときにそういうのを失くしたいと常々思っていたそうで、そういう話を最近するようになりましたね。我慢してやってきたのだと思います。普段は明るく振る舞っていますが、「いろいろ苦労してきたんだな。」と僕も同じように働くようになって思いますね。

 

 

―建太郎シェフにとって料理とは何でしょう?

 そうですね…、僕にとって…、料理は「魂」みたいなものですね。それがないと生きていけないし、それが生き甲斐です。素晴らしいものを残してもらえたし、宝物です。だから一人でも多くの人に知ってもらいたいですし、料理は嗜好の世界ですから10人中10人が、僕が作ったものを美味しいと言ってもらえることは絶対ないと思います。でも料理の味だけでなくいろんなものを知ってもらいたいですね。

 

 

―これから料理の世界で挑戦してみたいことは?

 料理は味もそうですし考え方も含めて、引き継がれていくものだと思います。それをどうやって残していくか、伝えていくかですよね。自分自身にとってもそれは勉強ですし、さらに僕も勉強しないといけません。その中でどんどん伝えていって、またそれをスタッフと一緒に勉強しています。

 今は少子化もありますが、中華の料理人を目指す人は減っています。自分が頑張ることで、1人でも中華を目指す人や料理をやりたい人を増やしたいですね。「頑張ったらああいう風になれるのかな?」と思ってもらうためにも、自分が先頭をきって頑張らないといけないなと思います。

 

 

―建太郎さんの座右の銘は何ですか?

 「低賞感微」です。これは祖父がよく言っていた言葉です。

 「低」はどんなに偉くなっても年をとっても、常に腰を低くいなさい。「賞」は家族でも友達でもお互いを褒め合い支え合いなさい。「感」は感謝の気持ちですね。どんなときでも感謝の気持ちを忘れてはいけませんよ。「微」は四川飯店でも一番大切にしていることで、ほほ笑み、笑いです。笑う門には福来るですよね。

 仏頂面で料理を作っていても絶対美味しくありませんから。同じ食材、調味料を使っていても、笑いながら作るのとどうでもいい気持ちで作るのは全然違います。これは絶対です。

 こういう言葉は、人間がなかなかできないからこそ書くと思うのですが、こういう気持ちを絶対忘れてはいけないと思いますね。忘れるような年齢でもないのですが、絶対に忘れてはいけないですし、祖父もよく言っていました。祖父が常々言っていたのは、自分が忘れないためだと思いますね。

 人間仕事をもらって忙しくなったら「忙しい、忙しい。」と言ってしまいがちですけど、仕事がいただけるだけでも有り難いですから、そういうのを忘れないように、肝に銘じてやっていますね。

 


▲ディナー前のカナッペとマッチングしたKIRIN薫りサイダーFuji Apple & Gingerフレーバー

 

―20代、30代の方の中でも海外で料理の世界で頑張っていらっしゃる方も多いですので、そういう方に向けてメッセージをお願いします。

 料理は芸術じゃないですか。自分で作ったものが一瞬で消えてしまいますし、個々で持っているアイデンティティは違いますが、料理の素晴らしさを広げていただけたらと思いますね。

 食べてみんなが笑顔になるというのは素晴らしい職業ですし、そういうのを1人でも多くの人に伝えていただけたらと思いますし、そのためには今僕らが頑張って次の世代に大切なものを伝えていかないといけないですね。ファーストフードなどのように形態が変わっても、そういう気持ちを忘れずにやっていけたらと思います。

 

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KIRIN薫りサイダー販売記念プレゼント!!

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>> 編集後記

 インタビューをさぁはじめましょうというタイミングで、「好きな食べ物はぁ、回鍋肉とぉ、マーボー豆腐とぉ、坦々麺…、済みません、済みません。」とこちらの緊張も解していただきました。

 笑顔を忘れない建太郎さんはまさに四川飯店3代目としての看板を背負いながら、しっかり芯の部分で多くの物事を考え、そして大きなプレッシャーも自身の活力に変えてしまうほどのパワーの持ち主です。

 建太郎さん、ありがとうございました!

 

Interviewer: Jun Hasegawa
Photos & Edit: Yoshimi Okita

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