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ワトゥルの風part2

1年間の重み
学校長 美谷添久男
 校門前にある椿は、ピンクの艶やかな大輪の花をつけた6月とは大きく異なり、今は、小指の先ほどの蕾をつけて、次の開花に向けての準備を整えています。この椿も、毎年同じサイクルを繰り返しているだけのように見えますが、少しずつ枝葉を伸ばして、着実に成長していることがわかります。
 メル校生も、様々な経験を通して、日を追うごとに見違えるほどに逞しく成長してきました。自分で考え、より良い解決方法を見つけたり、困難なことにも、仲間と励ましあったりして、メル校のめざしてきた「自学自治」の力が徐々に身についてきたようです。子どもたちの、このような成長の陰には、学校運営委員会をはじめ、保護者の皆様の弛まぬご支援の賜であったことを心より感謝を申し上げます。
ここで、メル校生1年間の歩みの一端を紹介して今年度最後の学校だよりとさせていただきます。
プレップの教室には、毎日の体験的活動で製作された、手作り作品がいたるところに飾られています。個性にあふれ、作っているときの楽しそうな表情が浮かんできます。通信「それゆけ!プレップ」を読んでいても、毎日元気いっぱいに活動して、体も心も立派になっていることを強く感じました。すでに、メル校1年生になるための、心構えが十分にできたようです。 
  G1,2はプレップと一緒に、毎日お弁当を食べてきました。おいしいお弁当をつくってくださるおうちの方に感謝するとともに、たくさんの命をいただくことで、自分たちが成長していることを考えられるようになりました。見つけ掃除の姿や友達の話に耳を傾けて聞こうとする学習姿勢にも表れてきています。
 G3の教室では、以前、モンシロチョウが飼われていました。その成長をつぶさに見てきた子どもたちは、一つの命が誕生するには、過酷な試練を乗り越えなければならないことを知りました。卵から孵化した青虫も、蛹となったままで生涯を終えてしまうことや、脱皮をしても、羽を傷めたことで、翔び立つまでには至らなかった蝶もいたことを知りました。一つの命がどれほど尊いものかを肌で感じ、思いやる心を大切に生活できるようになりました。 
G4やG5では、言葉遣いや挨拶、返事など、相手を意識して話ができるようになってきました。自分から進んで行動することで、まわりの仲間からの信頼が得られることをしっかり学んできたようです。次の小学部リーダーとしての準備を整えています。
 中学部では、学習に対する構えはもちろんのこと、学校内での諸活動を計画的に運営する力が向上してきました。また、対外的な行事においても、メル校生としての誇りを持って取り組んでくれました。多くの経験を通して、視野が広がり、実社会での生き方についても考えられるようになってきました。
 G6やG9は、小・中学部のそれぞれのリーダーとしての役割を見事に果たしてくれました。一つの行事を運営するにも、決して容易でないことを、活動を通して学んできました。しかし、どんなときも、最後まであきらめることはありませんでした。メル校の先輩たちが築いてきた伝統を汚すまいとする、強い心をもち続けてくれたことです。今は卒業を節目として、あらたな夢に向けて挑みはじめているところです。
児童生徒の在学した期間は、それぞれに違っていますが、互いに切磋琢磨し、自らの夢に向かって一歩、また一歩と足跡を刻み、どの子も健やかに成長してくれました。子どもたちにとっての1年間という時間は、大人の世界では考えられない程、貴重な時間ではありました。我々教職員も、このことを肝に銘じ、メル校にふさわしい平成24年度を締めくくる卒業式、修了式となるよう努めて参りたいと思います。

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