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Roddick, Clijsters引退

どうも~
9月になりましたね。8月は学校も始まったこともあってあっという間に終わってしまいました。もう1年も残り4か月ですか。

さて、連日大熱戦が繰り広げられているUS OPENにて、二人の名選手の引退が発表されました。
アメリカの元世界No.1、Andy Roddickと、ベルギーの同じく元世界No.1、Kim Clijstersです。Clijstersは今年のAustralian Openの段階で、今シーズンのUS OPENで引退をすると発表していました。一方のRoddickは、今年のWimbledonの時点で、また来年帰ってくるかわからないと話していましたが、今大会を持って引退を決意しました。
今回のコラムではこの両選手の活躍を振り返りましょう。

ベルギーのClijstersはWilliams Sistersに並ぶパワーテニスの選手でフォアハンドを武器に試合を組み立てるベースライナーです。2001年のFrench Open準決勝にて、同胞のJustine Heninとのベルギー対決を制し決勝に進出しました。この大会の決勝戦はアメリカのCapriatiに、6-1, 4-6, 10-12の激戦の末に敗れています。
日本人にとっては杉山愛とのダブルスペアとしてお馴染みですね。2003年の、French OpenとWinbledonと連続で優勝し、ダブルスの世界ランキングも1位になりました。シングルスダブルス両方でNo.1になっている選手です。
2000年からはオーストラリアのHewittとの交際・婚約も話題となり、Aussie Kimの愛称でオーストラリア人にも親しまれています。その後婚約解消を発表し、AussieのHewittは黒人選手・審判への人種差別発言、その後の成績低迷により、Lleyton “RUSTY” Hewittなんて不名誉なあだ名がつけられ嫌われるようになってしまったのですが、元恋人のClijstersは今まで以上の人気が出るという逆転現象も。3回優勝したUS OPENで引退すると発表した時もAustralian Openの期間中で会見にて、
「最初のGSタイトルを獲得したUS OPENで引退することにしたけど、一番好きなAustralian Openで発表したかったの。」
と話していましたね。
2007年には一度現役を引退、NBAの選手との結婚、長女のJadaちゃんを出産しました。その後競技への飢えからか、2009年8月に現役復帰を表明、その年のUS OPENにはワイルドカード(主催者推薦)で出場し、なんと優勝!娘のJadaちゃんも表彰式の際にコートに降りてきて、二人でトロフィーを掲げていたのが可愛かったですね。



個人的には、やはり2011年のAustralian Open。この大会も決勝まで勝ち進むのですが、対戦相手がアジア人初のGS決勝に進んだ中国人のリー・ナ。フルセットの末にリー・ナを破り、Australian Openでついに優勝しました。この時のチャンピオンスピーチで、
「これで本当にAussie Kimになれたわ」
と涙ながらに語ってたのが印象的でした。ちなみにこの決勝で戦ったリー・ナとはツアーでも仲の良い友達になったそうです。
今回のUS OPENでは2回戦でイギリスの18歳の新星、Laura Robsonに2セットともタイブレークの末に落とし、シングルスキャリアに幕を下ろしました。このRobsonに勝っていれば、親友のリー・ナとの3回戦の予定で、そこまで進めなかったのが悔しいと語っていました。
Heninとともにベルギーのテニス界の発展の礎となった選手です、その人柄から、選手間でもファンからもメディアからも愛されたClijsters。Williams Sistersのテニスより全然好きですから、もう見られないのは残念でしょうがないですね。もっと見たかった。

今年のAustralian Openにて、予選のベルギー選手を見に来ていたKimと。

もう一人引退を表明したのが、アメリカの元世界No.1、Andy Roddick。Clijsters同様、説明のいらない選手でしょうね。2003年のUS OPENで同年のFrench Openで優勝したJuan Carlos Ferreroをストレートで圧倒し11月にはNo.1に史上2番目の若さ(20歳2か月)で就き、Sampras、Agassiに次ぐアメリカテニスの後継者として注目を集めました。実はこの前年のUS OPENで優勝したのはSampras。この時の決勝はAgassiでした。Samprasはこの優勝後、引退を発表しました。Agassiも幾度となく引退が囁かれており、後継者を探していたアメリカ全体の注目を集めるようになりました。
Roddickのキャリアを振り返るときに使われる言葉が、
「彼ほど同情を集める選手はいない。」
これは、同世代のFedererの存在があるから。なぜなら、彼のGSの決勝の成績は1勝4敗なのですが、この4敗すべての相手がFedererなのです。先日の引退発表後のUS OPEN会場でのファンのインタビューで、Roddickの一番印象に残っていることはなに?との質問に一番集まった答えは、GS史上最多ゲーム数を更新した総ゲーム数77に及ぶ試合となった、2009年のWimbledonのFedererとの決勝でした。ファイナルセットに至っては14-16。前年のNadal VS Federer戦の試合時間も超えた激闘でした。勝った試合よりも、負けた試合の方が印象に残っている選手も珍しいと思いますよ。
2006年には往年のスーパープレーヤー、Jimmy Connorsをコーチとして招聘して話題となりました。僕自身はConnorsのプレーはリアルタイムで見ていませんけど、メディアなんかでは、ConnorsとRoddickなんてまた濃くて暑苦しいねなんて言って楽しみにしていました。
その後は2009年から、かつてMcEnroe、Rios、Kafelnikov、Henmanなどをコーチしたことで知られるLarry Stefankiを招聘し、サーブとフォアのみに頼るテニスではなく、ネットに出たりなど、多彩なアプローチを持ったテニスへと変わっていきました。僕個人的にはサーブとフォアだけのレンジの少ないテニスより、キャリア後半のテニスの方が好きでしたね。ビッグサーブとフォアハンドでガンガン攻めるダイナミックな感じはアメリカ人好きそうですよね。一時期は世界最速を誇ったあのド派手なサーブに、大きめのテイクバックを取るフォアが見れなくなるのは寂しいです。今後は自身のテニスアカデミーの設立など、キャリアを活かしテニス界の発展に尽くしていくそうですよ。近いうちにシニアのツアーでも見られるのではないでしょうか。

もうこのフォアが見れないんですね。

ここ5、6年で自分がテニスを見るようになってから知ってる選手の引退が増えてきて寂しいですね。小学生のころから見ていますから、10年近く経ってるわけで当たり前なんですけどね。当時20歳の選手でも、もう30歳近いわけですから。やはり、個人的に一番ショックだったのは、2006年のアガシの引退ですね。今でもはっきり覚えているのが、中学生で日本にいたのですが、この日は2学期の始業式で早く学校が終わったんですよね。その後部活だったのですが、時差の関係から帰れば試合が見れたので急いで帰りましたよ。Samprasは優勝後に引退を発表しましたが、Agassiは大会前に引退を発表していたので、3回戦でドイツの予選通過者のBeckerに敗れた時は、観客はスタンディングオベーション、自分も泣きましたね。


今見ても大号泣ですねこれは。
ついに生でAgassiの試合を見る夢は叶わなくなってしまいましたし。自分がテニスを始めるきっかけになった選手でしたから思い入れは格別です。

自分が見て育ってきた選手で今でも現役の選手だと、Hewitt、Ferrer、Haas、そしてFedererなどが30代として頑張っています。Hewittなんかは批判は多いですけど、僕が小学生でトーナメントに参戦し始めたころに世界ランキングNo.1となりましたからよく覚えてますよ。テニス選手としては小柄な体格ですが、とにかく走って球を拾う泥臭さ、ここぞという勝負時での強さは凄く印象的でした。それこそ、僕の世代のジュニアの選手から、カモン!と叫ぶのがよく見られるようになりましたけど、これは完全にHewittの影響でしたからね。Roddickの引退についてコメントを求められたHewittは、まだ戦う気持ちはあるから引退は考えていないと言っていますから来年のAustralian Openでも彼の姿は見られるでしょうね。ランキングこそ下がって、GSにはワイルドカードで出場していますが、コンスタントに成績を残しています。今年のAustralian OpenではカナダのホープのRaonicを破り、4回戦のDjokovicとの試合まで進みました。このDjokovicの試合では1セット奪うなど、かつてのHewittを見ているようで、熱いものがありましたね。試合後は泣いていましたし、隣のオージーのおばさんも、最近のHewittは嫌いだけど今回はかつての彼を見ているようでいいわねなんて話していましたしね。TomicやEbdenなど、GSでも勝ち上がる選手が出てきていますので、Hewitt自身もAustraliaをDavis Cupでワールドグループ復帰を望んでいます。彼はオリンピックなど国を背負った戦いは人一倍好きですから。
今年の日本の秋では錦織とHewittのエキシビジョンマッチも決まっているそうです。おそらく楽天の時期にやるのでしょう。ATP Sunday(ATPツアー大会初日月曜日の前日に行われるイベント)で組まれるのか別日程なのかわかりませんが、これはぜひ見たいです。日本の皆さん、これは絶対に良いと思いますよ。

やはり厳しいスポーツですから選手の引退は避けられませんが、Agassiなんかは36歳まで続けましたし、今までに比べて引退時期は遅くなっていますが、30半ばが一つの目安。好きな選手が入ればどんどん見に行きましょう。US OPEN後には日本でDavis Cupのグループリーグワールドリーグ入れ替え戦、ATPツアーのJAPAN OPENも開催されます。すべてのプレーができないと勝てないと言われる現代のテニス、明らかに超人的なテニスを繰り広げるFederer、Djokovic、Nadal、MurrayのBIG 4、その選手に追随する選手もかなりハイレベルになっています。往年の名プレーヤーが現在のテニスが最高と口をそろえて言っていますので、ぜひスタジアムに足を運んで生で体感して欲しいですね。

それでは今週はこの辺で。

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