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ワトゥルの風 part2(7月号)

小さな外交官

学校長 美谷添久男

 

 6月15日(日)、トルコがホスト国となって行われた「国際子どもフェスティバル」が開催されました。会場となったCity Town Hallは、150年前に造られたメルボルンの歴史ある建造物のひとつです。会場内には、いくつもの大きなシャンデリアが吊り下げられ、古代ヨーロッパ調に描かれた壁画が周り一面を取り囲んでいます。また正面には、高さが10㍍はあるかと思われる大きなパイプオルガンが埋め込まれ、荘厳なたたずまいを見せていました。

 このようなすばらしい施設の中で、メル校生達は9カ国の参加校の中、最後(トリ)を務め、伝統的な踊り「花笠音頭」と「南中ソーラン」を披露しました。小学部の優雅さと中学部の迫力のある力強い動きは、会場に集まったすべての観衆を魅了し、喝采の拍手をあびて、その役割を立派に果たし終えることができました。児童生徒たちも、このような機会を与えていただけたことに感謝するとともに、発表することで大きな自信を手に入れることができました。また、多くの国々の踊りや歌、きらびやかな民族衣装で着飾った異文化に触れることで、日本という国の文化を、今までとは違った視点で見つめ直すきっかけにもなったのではないかと感じています。

 さて、こうした機会を通していつも感じることは、メル校生一人ひとりが、小さな外交官としての役割も立派に果たしているのではないかということです。決して大袈裟なことではなく、この国の人たちと触れあう機会があるたびに、メル校生の旺盛な探究心や集団での規律の素晴らしさ、挨拶などマナーのよさについて必ず話されます。また、オーストラリアと日本では、双方の言語、文化、歴史、地理的位置ばかりでなく、国民性、価値観、慣習がまったく異なるにもかかわらず、いつも親近感を持って温かく受け入れていただいています。

 今回の主催者の方からも、日本人学校の踊りに心から感動したことや、舞台の最後を飾るにふさわしい演技だったことに丁重な感謝の言葉を聞くことができました。さらに、来年度のオファーも文書で届くなど、メル校への期待の大きさもうかがい知ることもできました(来年度の参加については、未確定)。このように、親日的な高い評価をいただけることは、とてもありがたいことだと思っています。

 しかし、メル校生たちも、オーストラリアの人たちから見れば、日本から来た外国人の一人に過ぎません。たとえ、小学生や中学生であろうとも、その言動や行動を通して、日本人としての生き方や考え方、文化度を推し量っているのではないでしょうか。それは、日本の国内においても同じようなことが言えるかもしれません。

 このように考えると、オーストラリアの人たちとメル校生との関わりは、小さな関わりではあるかもしれませんが、この国に生活する日本人として、よりよい関係を築いていく外交官としての役割を立派に果たしていることにつながるものと考えています。

 この小さな外交官としての歩みは昨今に始まったことではありません。開校以来、30年近くにわたって、この国の気候風土、産業、人々の暮らし方や歴史を学ぶために、率先して取り組んできた地域理解教育によって築き上げられてきた成果であると考えています。

 今年度も現地校との交流学習や社会見学など、オーストラリアの人たちと交わる機会は多々ありますが、このような異文化を理解する機会は、日本にいては味わうことのできない貴重な体験の場でもあります。

 今後においても、異文化を大切にするとともに、子どもたちの手によってオーストラリアや他国との架け橋となって、友好な関係が築いていけるようにメル校教育の充実に向けて取り組んで参りたいと思います。

     

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