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恵み物語megumi

キリン恵み物語 Vol. 30 新ばし

手打ち蕎麦と酒の肴、実直職人が追う日本の味

2012年11月1日掲載

 

 

打ちたての「新そば」。
その年に収穫されたばかりのそばの実を使った、そば。


「初めて食べたとき、衝撃でした。こんなにおいしいものなのか! と」。
それ以来10年間、ずっとそばを打ちつづけてきた。


「新ばし 手打ち蕎麦・酒」のオーナーシェフ、熊山貴文さんだ。
 

 

 

 

パーラメント近くの路地裏にある、ごく小さな店。

「今風のお洒落さを追及するのではなく、お客様がほっとするような家庭的な雰囲気、手作り感があってほんわりとあったかい」。オーナーがそう話す店は、日本ならちょっと近所にありそうな馴染みのおそばやさん、とでも言った居心地のよさ。

実際オープンしてたったの4ヵ月にもかかわらず、すでに常連客がついている。

 

   


熊山さん、日本では懐石料理が専門。

「実はそのころ、手打ちのそばって食べたことなかったんです。そばという食べ物を、それほど重要視していなくて」。

そんな彼を開眼させたのが、シドニーの手打ちそば専門店、同名の「新ばし」。日本国内と合わせても屈指の蕎麦打ち名人と言われる柴崎好範氏の手引きで、この道に入った。今から10年ほど前のことだ。

2003年、シンガポールへ。
柴崎氏プロデュースのもと「新ばし」を立ち上げる、そのオープニング・スタッフとして赴任した。
店長兼ヘッドシェフとして7年間、自らもそばを打ちつつ、現地スタッフにもその技術を伝え、店全体を切り盛りした。


大成功のシンガポール店をあとに昨年「オーストラリアでのんびりと、自分の店をやってみたい」と再度この国へ。
「次の『新ばし』はメルボルンがいい」との柴崎氏の言葉に背中を押され、この街にやってきた。


「メルボルンは、食に関して深いこだわりのある、コアな人が多いですね。1つのものを深いところまで追求していく。
僕はこういった気質、合います。『新ばし』にも、すごく期待をしてもらっています」。
 

 


『新ばし』で使うそばの実は、タスマニア産。日本の製粉会社が所有する畑で、化学肥料を一切使用せずに育てている。


店内の石臼で自家製粉。荒めに挽く。
そばの実本来の味が活き、ほのかにナッツの香りがする。
しっかりした弾力のある歯ごたえ、熊山さん言うところの「コリコリした」そばに仕上がる。
 

打つのは通常、朝と午後の2回だ。
 

「オージーのお客様も『フレッシュ!』と喜んでくれます。そばに馴染みのない人でも分かってもらえるのは、うれしいですね」。


酒肴は、ほぼ毎朝自分でクイーン・ビクトリア・マーケットに行き、その時に一番おいしい旬の魚や野菜を仕入れる。今、気にいっているのはタスマニア産のオーシャントラウト。これに合わせたそばメニューも考えているのだとか。



「昼はそば、夜はお酒を楽しんでほしい」という熊山さん。
「恵み」とのマッチングで選んでくれたおつまみ2種、そして手打ちそばのメニューを、紹介しよう。

 

あげそば
Deep fried soba noodle

手打ちの生そばを油で揚げた、贅沢なおつまみ。
つい先日メニューに載せたばかりだが、すでに人気の品の1つ。
まずはこれとビールで乾杯、という日本人客が多いのだとか。

揚げたてのアツアツに塩を振り、カリカリ、ポリポリ。
晩酌のスタートに、これがあれば「恵み」2本はいけそうだ。

 

 

かも塩
Grilled duck fillet with salt

オーストラリア産の鴨を、カンカンに熱したフライパンでさっと焼く。
鴨に下味は、いっさいつけない。
天然塩をちょっとだけつけていただく。

脂の載った強い風味の肉と、塩の味。
爽やかな喉ごしの「恵み」と、最高のマッチングだ。
レモンを数滴絞っても、またよし。

 

 

天ぷらせいろ
Chilled noodle with assorted tempura

打ちたて・ゆでたて、新鮮そのものを、一番楽しめる「せいろ」。
手打ちそばは、まずこの食べ方でぜひ試してほしい。

天ぷらはその日に仕入れた大ぶりのえび、旬の野菜。
からり、さくっと揚げ、素材の味をぎゅっととじこめる。

そして、つゆ。
鰹節は東京の店からわざわざ取り寄せる。
「これじゃないと力強い味にならないんです」。
出汁の奥深い味わいが、醤油に勝る。
そば湯で最後の1滴まで、飲み尽くしてほしい。


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「『恵み』は、ライトでフレッシュで、どんどん飲めちゃいますね。
ビールが好きなオージーの方には、絶対におすすめです」
と熊山さん。
 


実直に、1つの道を追い求める。
職人肌の料理人の手の中で、緑のボトルが輝く。

 

新ばし 手打ち蕎麦&酒
17 Liverpool St Melbourne VIC 3000
TEL: 03 9654 6727
WEB:www.facebook.com/ShimbashiJapaneseSobaSakeBar
営業時間: 月~金11.30am – 2:30pm, 6pm – 10pm、土6pm – 10pm、日休

 

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