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ワトルの風 Part2 5月号

『世界の果ての通学路』から

                                                 学校長 美谷添久男

  校門を入ると、右手に5メートルほどの高さになった木があります。毎年夏になると葉をいっぱいに広げ、強い日差しを遮って、朝の挨拶運動の手助けをしてくれています。今、枝先にはプロペラのような小さな実を無数に付け、葉を落としながら冬支度を始めています。一方、となりにある椿は、艶のある生き生きとした葉を付け、大人の親指大ほどの蕾を膨らませて、開花に向けた準備を整えているようです。これらの樹木には、一年というサイクルの中で、自らの命がもっとも輝く時期がいつなのかを知り尽くし、メル校生の活躍を見届けながら日々努力を重ねているのでしょう。

 

そのメル校も新学期が始まって10日ほどが経ちました。毎朝、校門を入ってくる子どもたちの表情には「今日もがんばろう!」とするやる気が漲っています。子どもたちも気持ちを新たに、それぞれの目標を胸にスタートをしたようです。

始業式では、『世界の果ての通学路』というドキュメンタリー映画から、勉強する意義について話をしました。

この映画は、世界の中でも過酷な環境にある通学路を題材にして、学齢期の子どもたちが、夢を掴むために勉強に打ち込んでいる姿が描かれています。

その一場面では、ケニアの学校に通う14歳のジャクソン君と10歳の妹のサロメさん兄妹が、片道15キロの道のりを2時間かけて通学するシーンが出てきます。

ケニアにおいては、どこにでも学校が造られているわけではなく、子どもたちの学ぶ環境が十分に整っているとはいえません。そのため、2人は往復30㌔という道程を毎日走って通っているというのです。通学途中はサバンナの中でもあり、野生の動物はいたる所にいます。友達の中には象やライオンなどに襲われて、命をなくしてしまったという悲惨な出来事もあるという厳しい条件下での通学です。しかし、2人はそれを覚悟で通い続けているのです。なぜそれほどまでにして、学ぼうとしているのでしょう。その意義について、映画の中に登場してくるジャクソン君は明快に語っています。

自分の将来を救ってくれるのは勉強しかないのです。

勉強こそ、自分の未来を救ってくれるのです。

だから往復30㌔のこの道程は、私に知恵や知識を身につける大切な道なのです。

 

自分の将来を救ってくれるのは勉強しかないのです。

勉強こそ、自分の未来を救ってくれるのです。

だから往復30㌔のこの道程は、私に知恵や知識を身につける大切な道なのです。

 

この言葉の中からは、自ら学ばなければならないという必要感が十分に伝わってきます。学ぶということによって、自分の将来の選択肢を広げ、かけがえのない命を生かしていこうとする強いこころざしも感じ取ることもできます。

 

メル校生の通学路は、映画に出てくるような状況ではありませんが、日々学ぶ姿は、この映画に出てくる少年少女たちと同じように、自分の夢に一歩でも近づけるようにがんばってくれています。

今、教室の中には、一年間にわたって取り組んでいこうとする、子どもたちの目標や決意が掲げられています。メル校の一年間の学習サイクルが終わったとき、児童生徒たちはやりきった喜びと満足感に溢れるとともに、大きな自信と誇りを胸に、新たなステップアップを図ってくれることと思います。

 

この5月も学年に応じて、宿泊学習や現地校との交流学習、動物園見学など現地理解を図る行事も計画しておりますが、児童生徒一人ひとりの力が発揮できるように、いつもと変わらぬ誠意と情熱をもって充実した学習活動を進めて参ります。

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