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藤沢美恵子さん(仮名)の物語(9)

私の健康維持法 
尿療法をしている。尿療法と聞くと、顔をしかめる人が多いが、コアラの母親は自分の赤ん坊に自分の糞を食べさせるのは、よく知られている。韓国ドラマ好きの友人の話では、時代劇を見ていると大けがをした人にし尿を飲ませる場面がある。だから、自分の尿を飲むのと言うのは、それほどショッキングなことではないのだ。
 尿療法を始めたきっかけは知人から聞いて、興味をもったことに始まる。私は理論的に納得しないと実行はしない人間なので、帰国した際にそれに関する本を3冊購入した。2冊は中尾良一院長の平成5年発行。もう1冊はアメリカ人医師J・W・アームストロングの「命の水」1944年に発行で、彼は1920-30年代に尿療法家として診療にあたっている。中尾良一「奇跡が起こる尿療法」には1943年に軍医として従軍した際に初めて尿療法を始めた時からのいきさつが書かれているが、非常に興味深かった。その理論的な解明が納得出来たので、その年に飼った愛犬2匹の誕生日をきっかけにして1996年6月6日にスタート。現在まで続いている。 最初に出て来る尿は廃棄物を多く含んでいるので、しばらくたって尿を採取し、自分の尿のきれいなところを取って、毎日飲んでいる。尿療法は免疫力を上げてくれるので、ウイルスに攻撃を受けた時に有効。この療法のお陰で、尿療法開始以来一度も風邪を引いた事がないし、血液検査しても完璧と言われている。
 ただこの療法は骨には効果がなく、関節炎やリュウマチ、骨そそしょう症には、効果なし。
 食べ物に注意している。というのは、食べ物の匂いは尿にそっくり出て来る。ムンバの手伝いをした時外食を続けたため、尿が臭くなってきた。その時食べたものに、どれだけ人工添加物が入れられているかと思うとぞっとした。
 病は気からだから気持ちが大切だけど、もう一つは食べ物が健康を保持するためには重要。だから外食する時は注意している。パーティーに呼ばれても、あまり感心しないレストランの出前物を出すと言うことなら、自分で食べる物は持参することにしている。その方が、安心である。
 老人ホームを訪問していて、老人ホームにだけは入りたくないと思った。自分で自分の世話ができなくなる前に死にたい。そこで、メキシコに行って、安楽死用の薬を買ってきた。今は有効期限が過ぎたので捨ててしまったが、もし必要になったら、何としてもメキシコに行って薬を買ってくるつもり。EXITってグループ、知っている?安楽死を推進する会なんだけど、そのグループの人に頼めば、薬をどうにかして手に入れてくれると思うわ。延命治療なんて受けたくない。その意思を表明するために、延命治療拒否を記した書類を表玄関と裏口に、よく見えるように置いているの。私にもしものことがあって救急車で運ばれる羽目に陥った時、救急隊員にそれを見てもらえれば、延命治療をされなくてもいいと思うから。
人生、思う存分生きて、燃え尽きて死にたい。自分の意思を通せなくなった状態でいつまでも生きたいとは思わない。日本でもピンコロと言う言葉がはやっているけれど、私もピンコロで最期を終えたい。ピンコロが望みと言う人は多いが、それを神頼みでなく、自分の意思で実行したいと思っている。

ちょさk

 

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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