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佐藤珠美さんの物語(2)

オーストラリアを選んだのは、自然が豊かなのに惹かれたためである。日本でも、車で九州や東北の自然をめぐる一週間の旅行に行ったことがある。オーストラリアは広大な自然のイメージはあるし、先進国で安全な国だから選んだ。中高は帰国子女が多い学校に通ったので、英語は得意だった。TOEFLのスコアは750(日本人の平均473)を取っているので、日常会話には困らない自信があった。
 来る前はSNSなどで情報を集めてメモ帳を作り、最大限の準備をしてきた。ビザは、半年かけていろいろ調べ、エージェントを通さないで、一人で取った。YOU TUBEにやり方が出ていたし、SNSで情報発信している人もいたし、申請の事例をいろいろ調べた。仕事探しもいろいろ情報を調べて来た。
去年(2023年)9月12日にメルボルンに来てから、ずっとメルボルンにいる。
来た最初の2週間は、ホステルに泊まって町巡りをした。トラムに乗ったり、街の雰囲気を楽しんだ。その間、バイト探しも怠らずやった。いろんなカフェにレジメを配って回ったり、ネットで求人情報も得て応募したりした。メルボルンの日本人コミュニティーの一日だけのバリスタの講習会に参加したのが良かったようで、3週間目には、仕事のオファーが相次いできた。一つは、レジメを配った一軒のローカルのカフェからのオファーで、もう一つは、オンラインで応募したDAVID JONESのカフェからのオファーである。どちらもパートの仕事だったので、今ではローカルのカフェで、パートタイムとして週3日、DAVID JONESで週4日、DAVID JONESの都合に合わせて、カジュアルとして働いている。二つのカフェはお客さんの層の違いや、大企業と個人事業の違いなど、いろんな面で違いがあり、面白い。ローカルのカフェはパートタイムで時給23ドルで、DAVID JONESはカジュアルで時給30ドルと待遇も違う。ローカルのカフェのオーナーはインド系オーストラリア人で、同僚はネパール人。それに対してDAVID JONESは、ワーホリで来ているイギリス人、中国系オーストラリア人、ベトナム系オーストラリア人と、オージーばかりである。

ちょさ

 

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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