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私のソウルメイト(1)

プロローグ
 皆さんは、自分にソウルメイト、運命の人がいると信じるだろうか。ソウルメイトなんているはずがないと言う人は、次のようなことを考えてほしい。あなたの周りに、どうしてあんな素敵な人があんな取りえのない人と結婚したのだろうかとかどう考えても釣り合わない不思議に思えるカップルがいないだろうか。科学的に考えると優性遺伝を子孫に残すためには、優秀な遺伝子を持つ男女に求愛者が集中すると思われるが、実際には、あばたもえくぼで、熱を上げる相手と言うのは、必ずしも理想とする容姿、性格を持つ人ではないのは、皆さんも経験がおありだろう。
有名人の中にもそういったカップルがいるが、まず思いつくのはイギリスのエドワード8世。二度の離婚歴のあるアメリカ人のシンプソン夫人との結婚を猛反対されたエドワード8世は、「自分を支えてくれる愛する人が傍にいなければ、イギリス国王の激務には耐えられない」と王位の座を今のエリザベス女王に譲った話は世紀のロマンスとまで謳われいる。
 有名人ではないが、アメリカではこんな話もある。31歳の女教師が12歳の男子生徒と関係を持ち、16歳未満の少年少女との性行為を禁止する法に触れ、刑務所に送られたという事件があった。こんなことを言うと、皆さんはきっと、男にもてない女教師が、かわいい男の子にちょっかいをだしたくらいにしか思わないだろう。しかし、その女教師というのは美しい魅力的な白人の女性。その相手の生徒と言うのは、見るからに肥満体の大柄な黒人の男の子なのだ。女性のほうはその生徒と関係を持ったときは、結婚していて二人の子持ちだったそうだ。服役中にその生徒との間の子供が生まれ、その子供は生徒の母親に育てられた。彼女は模範囚となり、刑務所から仮釈放されたが、そのときも、会うことを禁じれていた彼と会ってまた妊娠。また刑務所に舞い戻るはめとなり、なんと8年間刑務所に入れられたということだ。刑期を終えた彼女を待っていたのは、その元男子生徒と二人の間にできた二人の子供。20歳ばかりの年齢の差も乗り越え、二人は晴れて結婚したと言う。この女教師は一種の精神病だったと言う精神科医もいるが、それは少しこじつけのように思える。
 またイギリスでは、こんな話があった。
 ジェーン・モリスという作家は、もともとジェームス・モリスという男性だったのだが、30年前に女性に性転換した。そのときには奥さんとの間に5人の子供がいたのだが、女性となったモリス氏は当然のことながら奥さんと離婚。その後、モリス氏は素敵な男性にめぐり合えたのだろうか?そうではなかった。離婚したとはいえ、それは法律上だけのことであって、実際には離婚する前と同じように、奥さんと同じ屋根の下に暮らしていたのだそうだ。ところが最近イギリスでは法律の改正があり、同性のカップルの結婚も認められるようになった。これを機に81歳になったモリス氏は、30年前に離婚をした元妻と再婚したという話である。
 こういったカップルの話を聞くと、彼らはソウルメイトなのだろうと思わずにはいられない。
 この物語は、メルボルンに住む一日本人女性のソウルメイト探しの物語である。

著作権所有者:久保田満里子



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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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