渡辺鉄太さんの物語(2)
更新日: 2022-02-20
よく子育てしている人から自分も子どもの本を書きたいんですけどって相談されることがあるんですけど、普通の人がすぐに本を出して作家になるのはなかなか大変だと思うんですよね。僕の場合、子供のころから出版社の人や編集者、作家や絵描きさんを知って育ったから,比較的始めやすかったです。大学を出た頃に童話の執筆も面白そうだなと思い始めたんですけど。本格的にやろうと思ったのは、ずっと後で、この20年くらいのことですけど。
最近は、父の本を改訂するとか、再出版するとか、そういう仕事は結構あるんですよ。父は翻訳と創作と半々くらいやっていたんですけど、翻訳でも時々直した方がいいなと言うところなどを読者に指摘されて、直したりとか、結構そういう仕事が来ますね。改訂と言っても、父の使っていた言葉が今の時代に合わなくなったりしているのを直すくらいです。たとえば、乞食とか屑屋さんとか今では使われない言葉だし、看護婦さんとか今では使えない言葉を置き換えたりします。すると必ず出版社の方から僕の方に連絡が来て「これどうしますか?」と聞かれますね。まあ、細かいことですけれどね。そういった父から引き継いだこともあります。
「渡辺茂男さんの息子の鉄太さんです」と言うように紹介されることも多いんですが、僕は息子と言うより一読者と言うふうに思っているので、なんて言われてもいいやと思っています。日本で明海大学の英語の教員になったんですけれど、その前、国際基督教大学の大学院に行っている時に、父の翻訳の仕事を初めて手伝ったんですよね。2,3冊出版した後、面白いなと思ったんですね。これ、仕事にできるなと思って、それでちょっとずつ翻訳をするようになったんですよね。父と何年間か一緒に仕事をして、色々教わったし、今でもやってよかったなと思っています。
著作権所有者:久保田満里子
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