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中野不二男氏(4)

質問:歴史的なことから科学的なことに興味が変化したのはどうしてですか?
 それは経済産業省、当時の通産省が大型プロジェクト制度と言うのをやったからです。国家の費用で大型のジェットエンジンFJR710を作るプロジェクトです。さらにそのエンジンを搭載する短距離離着機、「飛鳥」を研究開発するという。それの試験など面白そうだと思って、飛び込んでいったんですね。当時は航空技術研究所でしたけれど、今はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の一部になっています。そのプロジェクトを聞いた時は、これは面白そうだと思ってみているうちに、もっともっと調べたいと言う気になって。その頃日本大学の名誉教授に木村秀政と言う先生がいらしたんですが、木村先生のご自宅に伺ったんですよね。そしたら、色んな資料をくださいましてね、僕がやっぱり航空宇宙飛行をやりたいんですよねと言ったら、君のような人がもっともっと大学に来ればいいなあと、言っていただいて、木村先生がガリ版で書いた揚力計算の本をくれたんですよ。その本で独学しているうちに、僕はやっぱり航空宇宙がやりたいなあと言う気持ちが強くなって、どんどん科学、技術系の本を書くようになっていったんですよね。そうこうするうちに、日本でH2ロケットが上がって、その取材をしているとき、その中心人物だった五代富文さん、大阪の商工会議所を設立した五代友厚のひ孫ですね、その方に、やはり研究をやりたいなあと言ったら喜んでくれて、「それじゃあ、東大に行けばいいじゃないか」と言われて、東大の先生を紹介してくれて、それで論文で博士号を取ることにしたんです。6年くらいかかりましたよ。博士号を取得したら、JAXAの連中が集まってくれて居酒屋でお祝いしてくれて、そのうち、うちにこないかと言いだして、JAXAの一部である旧航空宇宙研究所に行くことになったんですよ。本当に周辺に助けられましたよねえ。

著作権所有者:久保田満里子

 

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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