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テス・マッケンジーさんの物語(1)

戦争花嫁のTess McKenzie(92歳)さんをインタビューしたのは3年前、 2018年6月のことでした。その時テスさんは89歳。戦争花嫁の方が少なくなっていく中、テスさんは活発な人柄で、気さくに私のインタビューに応じてくださった。
 戦争花嫁と言う言葉がネガティブにとられることもあるが、その既成概念を吹っ飛ばすような人である。黒々とした髪を「実は、これはかつらなの。もうはげちゃったから」と笑い飛ばし、ユーモアあふれる人である。
 彼女の話を、また彼女になったつもりで、話してみたい。詳細に関しては、少々脚色した部分もあります。
 オーストラリアで戦争花嫁と言えば、広島県の呉出身者と思う方が多いのですが、私は岡山県の美作生まれです。父が呉の海軍造船所に仕事を見つけたので、5歳で呉市に引っ越し、それ以来オーストラリアに来る24歳まで呉で過ごしました。だから、何処が故郷かと聞かれれば、私は迷わず呉と答えます。
 戦時中、呉は造船の町として知られ、戦艦大和なども造られ、活気のある街でした。終戦になった1945年には、私は日本の会社に勤めていましたが、終戦をさかいに仕事もなくなり、次の仕事を探さなければいけませんでした。終戦で大きく変わったことは、米軍の襲撃を受けることがなくなったのは言うまでもないことですが、オーストラリア軍が進駐したことでしょう。オーストラリアの兵隊の姿があちらこちらで見られるようになりました。進駐軍が入ってくる前は、兵隊に乱暴されるかもしれないと、若い娘を持つ親たちは戦々恐々としていました。でも実際には、小さな諍いはあったものの、概ね町は平和を取り戻しました。


ちょさ
 

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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