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伊藤美緒(仮名)の物語(1)

伊藤美緒は1997年6月12日、大阪生まれ。2024年現在、27歳である。
美緒の家庭は少し複雑だった。美緒は一人っ子として育ったが、20歳の時、マイナンバーが必要となり戸籍を取って見て、父親が別にいることを知った。美緒が2歳になる前に母が美緒の父親と離婚して再婚したので、育ての父が、自分の父親だと信じていたのだ。育ての父には息子がいたそうだが、この義理の兄にも会ったことはない。育ての父親とは気が合わなかったが、その後母親は再婚相手とも離婚し、今は母一人、子一人になった。実の父親にはまだ会ったことはない。
美緒が海外旅行に病みつきになったのは、2018年大学生の時東南アジアを2か月旅行した時に始まる。
そのため、2020年に大学を卒業すると、まずフィージーに行って半年フィージーで暮らしてから、日本には帰国しないでそのままオーストラリアにワーキングホリデーで行こうと思っていた。ところがその予定はコロナが始まって狂ってしまった。海外渡航ができなくなったのだ。
そのため美緒は、日本で障害児の先生となって、子供の放課後の面倒を見る仕事についた。障害児と言っても色々な障害があるが、発達障害の子が多く、コミュニケーションをとることに苦労した。障害児の母親も障害者のことが多いので、母親とのコミュニケーションにも苦労した。しかしこれは美緒にとって貴重な体験だった。
その頃に出会った人と一緒に住み始めて、安定した生活を送っていたが、コロナが明けたときに、やはり自分のしたかったことが諦めきれず、彼に海外に行きたい、挑戦したいと伝えると、彼は応援してくれると言ってくれたので、渡航準備を始めた。

ちょさk

 

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プロフィール

2008年よりメルボルンを舞台にした小説の執筆を始める。2009年7月よりヴィクトリア日本クラブのニュースレターにも短編を発表している。 2012年3月「短編小説集 オーストラリア メルボルン発」をブイツーソリューション、星雲社より出版。amazon.co.jpで、好評発売中。

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